2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する樹状細胞を用いた磁場誘導組織内温熱免疫療法
Project/Area Number |
20791506
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 憲幸 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (60378156)
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Keywords | 温熱療法 / 樹状細胞 / 免疫療法 / 扁平上皮癌 / マイルド加温 / 磁性微粒子 |
Research Abstract |
1.腫瘍細胞におけるheat shock protein 70 (HSP70)の発現腫瘍細胞でのHSPの発現が亢進するほど腫瘍の抗原性が上がると報告されている。in vitroにおいて、マウス扁平上皮癌細胞株SCCVIIからのHSP70の発現量は、43℃30分加温後24時間で最大となった。2.(1)腫瘍細胞との共培養による樹状細胞(DC)の成熟度上記条件の加温によりHSP70を高発現させたSCCVII細胞と、マウス骨髄より誘導した未熟樹状細胞(iDC)を72時間共培養させた。HSP70の発現により腫瘍の抗原性が上昇していれば、DCは腫瘍を抗原として認識し、取り込むことで成熟化すると考えられた。しかし加温していない腫瘍細胞とiDCを共培養させた場合と比較して、DCの成熟度に有意差が認められなかった。SCCVIIの免疫原性が極めて低いことが原因として考えられ、追加療法を検討する必要があった。(2)共培養下におけるマイルド加温の効果樹状細胞に対するマイルドな加温(40-42℃)がその免疫応答を亢進させると報告がある。hsp70を高発現させたSCCVIIと未熟樹状細胞の共培養下にマイルド加温を行うと樹状細胞が強く成熟化した。一方、加温していないSCCVIIとiDCの共培養下にマイルド加温を行ってもDCの成熟度は上がらなかった。これらのことから、腫瘍細胞を43℃に加温しHSP70を高発現させ、iDCを注入し、その後マイルドな41℃程度の加温を行うという方法が有効と考えた。3. in vivoにおけるマイルド加温の効果in vitroの結果をふまえて、担癌マウスでマイルドな追加加温の効果を検討したところ、腫瘍の増殖抑制傾向と生存率の上昇傾向が認められた。この併用療法は副作用もないと考えられ、新しい治療プロトコールとして期待できる。
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