2008 Fiscal Year Annual Research Report
静脈麻酔薬および吸入麻酔薬による中枢の酸化ストレス抑制効果の検討
Project/Area Number |
20791513
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
樋口 仁 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30423320)
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Keywords | 脳 / 酸化ストレス / 術後認知症 / ショック |
Research Abstract |
本研究課題の平成20年度の研究実施計画は, (1)周術期脳酸化ストレスモデルの確立を目的に, ペントバルビタール麻酔下にラット出血性ショックモデル(ショックモデル)を作製し, 中枢におけるHeme oxygenase-1(HO-1)の発現を, real-time PCR法を用いて検討すること,(2)ケタミン, プロポフォールを用いた麻酔下にショックモデルを作製し, 中枢におけるHO-1の発現を麻酔薬間で比較検討することにより, 静脈麻酔薬における抗酸化作用の違いを明らかにすることである。 申請者は雄性SDラット(8週齢)を用い, ペントバルビタール麻酔下に大腿動脈にカテーテルを挿入, 平均血圧30mmHgとなるまで脱血を行いショック状態とし, 1時間後脱血した血液を返血し蘇生を行うショックモデルを作製した。蘇生開始から1日後, 3日後および7日後にラット犠死させ脳の摘出をおこない, 大脳皮質・海馬・視床下部の標本を採取し, real-time PCR法にてHO-1 mRNAの発現を検討した。その結果, 3日後, 7日後の大脳皮質および海馬においてHO-1 mRNAの発現が認められた。これらショックモデルおける中枢での病態をさらに検討するため、大脳皮質および海馬において, 炎症性サイトカインであるinterleukin-1 β(IL-1 β), IL-6 mRNA, およびinductible nitric oxide synthase(iNOS)mRNAの発現をreal-time PCRで検討した。その結果、ショック7日後の海馬においてiNOS mRNAの優位な発現を認めた。このことは、出血性ショックは中枢において炎症反応によらず, 何らかの機能障害を引き起こしている可能性を示唆するものであった。 また, ケタミン, プロポフォールを用いた麻酔下に作成したショックモデルについても中枢での酸化ストレスを検討中である。
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