2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性口腔粘膜疾患発生に関する粘膜上皮・真皮における免疫応答の細胞生物学的研究
Project/Area Number |
20791518
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西 裕美 Hiroshima University, 病院, 助教 (70403558)
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Keywords | 炎症性口腔粘膜疾患 / 口腔粘膜上皮細胞 / 歯肉線維芽細胞 / Th1サイトカイン / Th2サイトカイン |
Research Abstract |
扁平苔癬等炎症性口腔粘膜疾患発症の過程には,病変部に浸潤するリンパ球より産出される炎症性サイトカインが重要な役割を担っている.これまでに我々は'口腔粘膜上皮・歯肉線維芽細胞において,Th1サイトカインであるINFγの刺激により著明に産生されるCXCL9,10,11が,Th2サイトカインであるIL4の調節をうけることを報告した(J Dent Res.2008).INFγの刺激により発現する遺伝子の細胞内シグナル伝達にはSTAT1蛋白のリン酸化が関連しているとの報告があるが,口腔粘膜上皮・間葉細胞におけるTh1,Th2サイトカインによるシグナル伝達の調節機構は不明である.今回我々はhTERT遺伝子を導入して不死化させた口腔粘膜上皮細胞(RT7),歯肉線維芽細胞(GT1)を用いて,Th1,Th2サイトカインによるSTAT1蛋白のリン酸化修飾を検討した. 実験方法)RT7,GT1にINFγと各種シグナル伝達阻害剤を同時添加しCXCL10の発現をreal-time PCR法を用いて検討した.RT7,GT1におけるINFγ,TNFα,IL4,IL13単独添加,同時添加によるSTAT1蛋白のリン酸化修飾を経時的にWestern blotting,ELISA法を用いて検討した. 結果と考察)RT7,GT1においてINFγで著しく増加するCXCL10の発現はJAK/STATシグナル阻害剤により抑制された.またINFγの添加によりSTAT1リン酸化が経時的に増加した.INFγによるSTAT1のリン酸化が両細胞においてTNFαの同時添加でさらに増加した.一方,IL4,IL13の同時添加ではRT7では増加,GT1では抑制された.以上よりINFγにより活性化されるSTAT1シグナル伝達経路は細胞およびサイトカインの種類により異なる発現調節をうけ,CXCL10等のケモカインの発現に関与する事が示唆された.
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Research Products
(3 results)