2009 Fiscal Year Annual Research Report
関節軟骨維持におけるマスピンの役割とDDSを利用した関節炎治療薬としての可能性
Project/Area Number |
20791526
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳山 麗子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20380090)
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Keywords | マスピン / TGF-β / セリンプロテアーゼインヒビター / 関節軟骨 / 関節炎 / 関節炎治療薬 |
Research Abstract |
マスピンは1994年Zouらによりはじめて報告された42kDaのセリンプロテアーゼインヒビターであり、多くの正常組織にその発現が確認されている。生物学的作用としては現在までに腫瘍抑制作用、血管新生抑制作用が知られている。これらはマスピンがプラスミン、プラスミノーゲンアクチベーターなどを阻害することにより発現すると考えられている。これまでに当教室では活発に骨形成をしている正常骨芽細胞にマスピンが発現していること、マスピンがプラスミンなどのセリンプロテアーゼの活性を制御し細胞外基質中への潜在型TGF-βの蓄積の促進を介して骨形成過程、特に骨基質の成熟において重要な役割を担っていることを確認した(J Bone Miner Res 22(10):1581-1591,2007)。一方関節軟骨組織においても組織破壊と新生がダイナミックに起こっているにもかかわらず永久軟骨は破壊されずに維持される。このためにはセリンプロテアーゼインヒビターが関節軟骨などの永久軟骨の維持に関与している可能性が考えられ、マスピンに着目した。この結果、マスピンが関節軟骨の永久軟骨に発現していること、また、ラット膝関節において関節腔内でマスピン蛋白質を阻害することにより著明な関節破壌が起こることを組織学的に確認した。また、マスピン遺伝子を組み込んだマスピン遺伝子発現ベクターを作成し、それを大腸菌内で発現させることにより、マスピン蛋白質を作製した。このマスピン蛋白質を、ラットにニワトリタイプIIコラーゲンを用いて作製したII型コラーゲン誘発関節炎モデルの膝関節に定期的に注入することで関節炎を予防できる可能性が示唆された。今後はこの治療薬としての可能性につきさらに詳細に確認していく予定である。
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Research Products
(1 results)