2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規口腔扁平癌腫瘍マーカー抗Sideroflexin3抗体の臨床的評価および解析
Project/Area Number |
20791529
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村瀬 隆一 Ehime University, 医学部附属病院, 医員 (70452696)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 早期診断 / フォローアップマーカー / 抗体価測定キット |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌細胞株を用いた実験の結果、癌患者血中では複数の腫瘍抗原に対して抗体価が上昇していることが示された。これまで行ってきた研究から、ミトコンドリアに存在する鉄輸送タンパク質Sideroflexin 3(以下SFXN3)が口腔扁平上皮癌患者血中で特異的に抗体価が上昇することが明らかとなっている。従って、血中の抗SFXN3抗体が腫瘍マーカーとして有用である可能性があるため、新たな診断技術として確立するべく現在まで研究を進めている。 患者178名、健常者145名を対象にした解析の結果、抗SFXN3抗体は72%の感度、81%の特異度があり、従来の腫瘍マーカーであるSCC抗原値を大きく上回る診断精度を得た。また早期癌(T1症例)の検出感度が88%であり、従来問題とされてきた早期診断への応用が期待される。また患者35例を対象に追跡調査を行った結果、19例の患者で病勢に一致した抗体価の変化を示した。以上の結果からフォローアップマーカーとしての有用性も示された。免疫組織染色の結果、SFXN3は主に癌細胞周囲の間質結合組織に強発現するとともに、比較的低分化な癌細胞や腫瘍血管内皮細胞、正常上皮の基底細胞層にも若干の発現を認めた。これらのことよりSFXN3は口腔扁平上皮癌細胞の増殖が活性化されることによって組織中の発現量が増し、抗体価上昇を惹起すると推察された。さらにSFXN3の抗原認識部位を特定し、より高精度な抗体価測定キットを確立するために、SFXN3を3つのfragmentに断片化させて、検討を行った。この結果、N末端側のfragmentに特異的な抗体価の上昇を認めた。今後は抗体価上昇のメカニズムを明らかにしていくとともに再現性の高い診断キットの作製を進める方針である。
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