2010 Fiscal Year Annual Research Report
p63とNotchシグナル伝達系を介した口腔白板症の癌化に関する研究
Project/Area Number |
20791531
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川野 真太郎 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00398067)
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Keywords | p63 / 口腔扁平上皮癌 / 白板症 / 癌化 / 分化 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
本年度は正常口腔粘膜の上皮幹細胞マーカーであるΔNp63のOSCCにおける発現および機能ついて検討を行った。 OSCC細胞株を用いてΔNp63、CK14の発現を検討したところ、ΔNp63の発現量が多い細胞株でCK14は強く発現しており、反対にΔNp63の発現量が少ない細胞株ではその発現は弱かった。またΔNp63を発現していないSQUU-B細胞においては、間葉系細胞のマーカーであるvimentinの発現が認められた。次に、OSCC細胞株の分化および増殖おけるΔNp63の機能を解明するため、OSCC細胞株にΔNp63siRNAを導入し、その効果について検討した。その結果、ΔNp63のノックダウンによりCK14、未分化マーカーであるp75NTR、BMI1、頭頸部扁平上皮癌のCSCマーカーであるCD44の発現量は有意に減少した。また、ΔNp63siRNA導入細胞では細胞増殖活性が抑制され、細胞周期を抑制するサイクリン依存性キナーゼインヒビターであるp27^<klpl>の発現量が増加していた。さらに、ΔNp63siRNA導入細胞においてその形態が線維芽細胞様に変化し、wound healing assayにおいて細胞の遊走能が亢進していた。また、ΔNp63導入siRNA細胞ではvimentinの発現量の増加を認めた。 OSCC細胞株におけるΔNp63のノックダウンにより上皮の未分化マーカーの発現量の減少および細胞増殖活性の低下が認められたことから、ΔNp63はOSCC細胞における分化および増殖に関与していると考えられた。さらに、ΔNp63siRNAを導入したOSCC細胞において、上皮系細胞マーカーの発現量の減少、間葉系マーカーの発現量の増加、細胞増殖活性の低下、細胞遊走能の亢進、紡錘形への細胞形態の変化が認められたことから、ΔNp63の発現低下により上皮-間葉転換が誘導される可能性が示唆された。
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