2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるマッピングアレイを用いた全染色体上の構造異常の解明
Project/Area Number |
20791549
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 信治 Tokyo Dental College, 歯学部, 助教 (60385185)
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Keywords | 舌扁平上皮癌 / ヘテロ接合性消失(LOH) / コピー数異常(CNA) / 一塩基多型(SNP) / 癌抑制遺伝子(TSG) |
Research Abstract |
研究目的 : Affymetrix 10K SNP Mapping Arrayを用いたDNAマッピングアレイ解析は、全ゲノム上の詳細かつ網羅的なLOH解析を行うことが可能である。乳癌、膀胱癌、前立腺癌、骨肉腫、肺癌、口腔癌由来細胞株等でこのアレイの有用性は証明されているが、ヒト口腔癌における報告はない。そこで、今回はDNAマッピングアレイを用いた全染色体上のLOH解析を行い、同定された領域に対し詳細な構造異常を検索した。 研究方法 : 東京歯科大学口腔外科を受診した30例の舌癌患者の腫瘍組織ならびに同一患者の正常組織から抽出したDNAを用いた。併せて、舌扁平上皮癌由来細胞株を5種・ヒト正常口腔粘膜由来細胞株を2種も用いた。5例の舌癌患者に対しDNAマッピングアレイを用いた全ゲノムLOH解析を行った。LOHが認められた領域に対し30例全例でマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析を行った。さらにその領域に存在する遺伝子のmRNAの解析を6種の舌癌由来細胞株と15例の舌癌患者を用いてReal-time quantitative RT-PCRを行った。 研究成績および考察 : 全ゲノムLOH解析の結果、1q31.1領域にコピー数の減少(コピー数 : 1)を認め、LOHの存在が示唆された。30例全例において、1q31.1領域に存在するマイクロサテライトマーカー(DIS1189、DIS2151、DIS2595)を用いたLOH解析を行った結果、DIS1189で18/30(60%)、DIS2151で16/30(53%)、DIS2595で21/30(70%)に高頻度なLOHが認められた。この領域には、EAM50遺伝子が存在しており、Real-time quantitative RT-PCRの結果、舌癌由来細胞株5種において全例で、正常細胞株と比較し明らかな発現低下が認められ、15例の舌癌患者においても正常組織と比較し、有意に発現の低下が認められた。今回の結果より、1q31.1領域にLOHの存在が認められ、この領域に存在するFAM5C遺伝子は癌抑制遺伝子である可能性が示唆された。今後はFAM5C遺伝子のタンパクの機能解析による詳細な解析を行う予定である。
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