2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791552
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 明子 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (10434078)
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Keywords | 歯学 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
三叉神経第三枝(下顎支配神経)の神経損傷後、三叉神経第二枝(上顎)支配領域に神経因性疼痛様の関連痛を生じることがある。本研究では未だ明らかにされていない、その中枢神経機構の解明を目的とした。三叉神経第三枝(IAN)切断後に、三叉神経第二枝領域(V_2)の顔面皮膚感覚閾値の低下を示すIAN切断モデルを作成した。そして、アストログリア阻害薬であるフルオロ酢酸(FA)を延髄三叉神経脊髄路核(MDH)に投与し、アストログリアの関与を調べた。その結果、三叉神軽損傷後にアストログリアにおいてグルタミン合成が増加し、MDH神経の異常興奮が生じ、V_2における痛覚過敏が発症することを示した。また、MDHの三叉神経第三枝領域(MV_3)におけるGFAP(アストログリアのマーカー)発現は、IAN切断後、MV_3において増加し、1週間後にはMDHの三叉神経第二枝領域(MV_2)にまで広がった。一方、lba1(マイクログリアのマーカー)発現はMV_3において増加し始めたが、MV_2にまでの広がりは認められなかった。また、pERK(細胞活性マーカー)やBrdU(細胞増殖マーカー)との2重蛍光免疫染色では、MV_3におけるGFAP、Iba1陽性発現細胞共に、pERKとBrdUの陽性発現が認められた。一方、MV_2におけるGFAP陽性発現細胞においてpERK陽性発現が認められたが、BrdU陽性発現は認められなかった。以上の結果より、マイクログリアでなく、アストログリアのNDH内での広がりが、三叉神経領域に引き起こされる関連痛を引き起こす可能性が考えられた。また、MV_2において増加したGFAPは細胞増殖によるものではなく、活性化(アストロサイトの肥大)によることが推察された。これは、三叉神経系由来の神経因性疼痛発症と関連痛における中枢神経機構の新たな解明となり得る重要な発見であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)