2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791552
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 明子 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (10434078)
|
Keywords | 歯学 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
三叉神経第三枝(下顎支配神経)の神経損傷後、三叉神経第二枝(上顎)支配領域に神経障害性疼痛様の関連痛を生じることがある。患者は疼痛感覚部位と疼痛原因部位が異なるため、正しい治療を受けられず長年苦しむことがある。本研究では、未だ明らかにされていない、その関連痛の中枢神経機構の解明を目的とした。三叉神経第三枝(IAN)切断後に、三叉神経第二枝領域(V_2)の顔面皮膚感覚閾値の低下を示すIAN切断ラットを作成した。そして、アストログリアの阻害薬であるフルオロ酢酸(FA)を用いて、IAN切断後に、アストログリアにおけるグルタミン産生が増加し、延髄三叉神経脊髄路核(MDH)神経の異常興奮が生じ、V_2における痛覚過敏が生じることを示した。この結果は、IAN切断後に、GFAP(アストログリアの抗体マーカー)陽性細胞の発現がMDHの三叉神経第二枝領域(MV_2)に広がることで裏付けられた。そして、さらにMV_2におけるアストログリアから神経細胞へのグルタミンの受け渡し機構を解明するため、アストログリアに存在するギャップジャンクションのサブユニットであるconnexin43抗体を用いてconnexin43の働きを調べた。その結果、IAN切断後にアストログリアにおけるconnexin43発現が有意に増加した。以上の結果から、IAN傷害後にMV_2におけるアストログリアが活性化し、グルタミンが産生され、アストログリア-神経細胞間のconnexin43を介してグルタミンが受け渡され、神経が活性化されることがわかった。そして、三叉神経第二枝領域における関連痛が生じる可能性を明らかにした。 以上の結果はJournal of Neuroscience 29(36)に掲載された。
|