2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における血管・リンパ管の新生誘導と脈管侵襲の3次元形態解析
Project/Area Number |
20791553
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
島津 徳人 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 講師 (10297947)
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Keywords | 歯学 / 病理学 / 口腔腫瘍 / 癌浸潤 / 転移 / 脈管新生 / 組織立体構築 / 3次元形態計測 |
Research Abstract |
本研究では、口腔癌の浸潤様式と予後判定の科学的根拠となる診断基準を確立することを到達目標として、2年間の交付期間においては、口腔腫瘍(舌扁平上皮癌と唾液腺腫瘍)の摘出症例から癌実質と間質の境界形状を可視化するとともに、癌胞巣周辺における脈管新生の誘導と脈管侵襲頻度を3次元空間で検証した。本研究期間において確立した組織立体構築法では、癌細胞と脈管内皮細胞の特異抗体(サイトケラチン、Ki-67、CD31、D2-40)を使用して連続薄切標本に多重免疫標識を施し、バーチャルスライドにより標識画像をデジタル記録する。このバーチャルスライドの導入により、高分解能の画像情報を迅速に記録できるとともに、同じ組織標本から複数回の免疫標識→画像保存を繰り返し実施できた。免疫表現型の異なる組織要素の分画と連続画像の積層により、血管内皮、リンパ管内皮、粘膜上皮・癌胞巣を統合した3次元観察が可能であり、癌胞巣内部と周辺領域における微小脈管網の走行・密度・増殖活性を定量解析できた。3次元情報による癌の構造解析では、癌実質と脈管要素との空間配列に注目して、癌胞巣の脈管内侵襲の部位を半自動的に網羅的に特定できるとともに、脈管侵襲部位を任意の方位から診断できる。これまでに、舌癌摘出断端における癌侵襲の有無判定に3次元診断を適用する機会も得られたが、通常の病理組織診断では判定困難な微細癌胞巣の組織内広がりを可視化できることも確かめている。以上の成果に基づき、本研究課題で確立した組織立体構築法は口腔腫瘍の臨床病理診断に寄与できると総括している。
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