2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791557
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
堂東 亮輔 Matsumoto Dental University, 歯学部, 助教 (40329470)
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Keywords | 抗癌剤多剤耐性 / 薬剤排泄機構 / ABC transporter |
Research Abstract |
一般に唾液腺癌は,癌化学療法に対し治療抵抗性を示す場合が多く報告され,また,一度化学療法を施行した症例においては,次の化学療法を施行したときの薬剤感受性は,著しく低下することが明らかとなっている.これまでABC transporterは,異物を細胞内から細胞外へ排出させるタンパク質として認識されている.唾液腺組織および唾液腺癌細胞におけるABC transporterの出現とその機能について検討することは,唾液腺の未だ明らかにされていない抗癌剤などの高分子物質の能動輸送や代謝機構に新しい知見を与え,唾液腺癌細胞の抗癌剤多剤耐性機構の解析にもつながるものと考えられる.本研究では唾液腺癌の抗癌剤耐性獲得機構を分子レベルで明らかにすることを目的とし研究を行った. 唾液腺癌細胞を用いて薬剤耐性機構の解析をおこなった結果,頭頸部癌の抗癌剤多剤耐性獲得機構にはmultidrug resistance gene (MDR) 1, multidrug resistance associate protein(MRP)1およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)-piが関与し,特に唾液腺癌細胞では,MDR1に加えGST-piの発現に伴うMRP1の薬剤排泄機能の亢進が明らかとなった。従って,これらABC transporterの発現が癌化学療法における治療抵抗性因子として考えられた.すなわち,唾液腺癌における抗癌剤耐性克服には,MDR1の薬剤排泄機構に加え,GST-piで触媒される解毒抱合体を基質とするMRP1の薬剤排泄機構を阻害することが分子標的として考えられた.
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