2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791558
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
寺本 祐二 Matsumoto Dental University, 歯学部, 助手 (80460442)
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Keywords | 再生医療 / 骨髄幹細胞 / 歯周組織 / インプラント |
Research Abstract |
高品質のヒト幹細胞を培養するには品質の優れた医薬品を製造するための要件であるGMP基準を柱とした「ヒト幹細胞の臨床研究に関する指針」に準拠し,CPCで細胞を調製する必要性がある.本研究は細胞調製施設である信州大学医学部附属病院CPCで細胞培養し,細胞採取施設である松本歯科大学病院で細胞移植手術を行うシステムを確立することを目的とした.顎骨再生シミュレーションとして日本白色ウサギの大腿骨部より骨髄液を採取し初代培養を行い,3週間培養した.細胞増殖能,細胞形質の検討を行い,培養された細胞をβ-TCPと多血小板血漿にて混和しウサギの上顎洞へ移植し,骨形成状態を検討した.3週間の培養によってMSCは約2×10^6個に増加した.分化培地を添加して培養したMSCは骨芽細胞様細胞の形質を獲得し,アリザリンレッド染色陽性となり成熟骨芽細胞への分化能を示した.多血小板血漿と医薬品塩化カルシウムを混合して細胞の保持が可能なゲルが形成された.移植された組織を骨生検し,トルイジンブルー染色にて細胞移植部に著しい基質が観察され,アリザリンレッドではリン酸カルシウムの沈着が観察された.また,ヒトにおいては採取施設にてボランティアの腸骨から骨髄液を採取し,同日CPCに搬送後3週間の細胞培養を行った.細胞形質,骨関連遺伝子の発現,遺伝子産物の発現,基質の石灰化について,フローサイトメトリー,RT-PCRおよびReal-time PCR,Western blot法,アリザリンレッド染色で検討した.ヒト骨髄液中には,CD271陽性のMSCが0.2%,CD44/CD105陽性のMSCは約2%存在した,3週間の初代培養によってMSCは約2×10^7個に増加した.以上の基礎研究をもとに臨床研究を行い,高度顎堤吸収異状の患者に対して上顎洞底挙上術,自己培養細胞移植術を施行し,移植1週間後と1ヵ月後のMRIを比較してみると,細胞に移植した部位の上顎洞底の位置が維持されていた.CPCと細胞採取施設が連携しMSCを用いた骨再生療法を適用し,さらにGMP基準下の骨造成治療の有用性が示唆された.
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Research Products
(5 results)