2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌および口腔粘膜前癌病変におけるS100A7タンパクの発現解析
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20791563
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
福沢 秀昭 Fukuoka Dental College, 口腔顎顔面外科学講座, 助教 (90465724)
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Keywords | 歯学 / 癌 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
S100A7タンパクの免疫組織学的染色による検討は、癌の初期に高発現するという報告や、浸潤初期に発現する場合には転移しやすいという報告がある。今年度では昨年に引き続き、当科にて切除術を施行し病理組織検査にて口腔扁平上皮癌と診断された、パラフィン包埋された組織標本50例を用い、S100A7マウスモノクローナル抗体を用いて、免疫組織学的染色を行った。昨年同様やはりS100A7タンパクの発現にはばらつきがあるが、昨年の20例を合わせると発現が陽性である割合の方が多かった。また、当科にて切除術を施行し病理組織検査にて白板症と診断された組織標本20例を用いて、同様にS100A7タンパクの発現を解析したが、扁平上皮癌同様に発現にばらつきを認めた。 癌の進行の度合い別に解析を行うと、切除時の腫瘍の大きさが比較的小さく内部浸潤や外向性に発育していないケースでは、陽性細胞率は高く思えた。腫瘍の大きさど頸部リンパ節転移を認めたケースでの発現解析では差は認められなかった。胃癌で報告があった初期の癌に高発現するという報告は、扁平上皮癌でも同様の結果が得ることができたと思われるが、まだまだ詳細な検討が必要であると思われた。 前癌病変である白板症に関しては、ばらつきが多く発現を認めたから癌化し易いかどうがという判定にはまだまだ結び付けがたく、更なる症例の追加やその他の前癌病変と併せて見ていぐ必要性が考えられた。 今後も継続して染色を行う検体数を増やし、更なる発現解析を行っていく予定である。
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