2009 Fiscal Year Annual Research Report
先天性多数歯欠損の家系における変異と表現系に関する研究
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20791568
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 卓也 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50401360)
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Keywords | 先天性多数歯欠損 / PAX9 / MSX1 / 転写因子 |
Research Abstract |
近年、転写因子であるMSX1やPAX9が常染色体性優性に非症候群性の先天性多数歯欠損を引き起こす原因遺伝子として同定されたが、特定の遺伝的変化により欠損部位ならびに歯数を同定するのが困難なことが現状である。そのため、先天性に永久歯の欠損を引き起こす遺伝子変異と表現型の関係を明らかにすることは、遺伝子診断さらに遺伝カウンセリングにも大きく役立つと考えられる。平成20年度では、PAX9の変異とMSX1の多型を同時に有する家系を同定したことから、MSX1の多型が欠損部位ならびに欠損歯数に影響を与えるのではと推測し、変異タンパク間の機能解析を行ったが、その多型と多数歯欠損の発症との関連を認めることが出来なかった。そこで、平成21年度では、現在のところ明らかにされているPAX9のDNA結合ドメイン内に認められるミスセンス変異8変異の変異蛋白の機能解析ならびにバイオインフォマティクスの手法により構築した立体構造を解析することで、PAX9の遺伝的変化と表現型の関連を検索することとした。方法として、ミスセンス変異を有する変異蛋白の細胞内局在、DNA結合能、Bmp4やMsx1プロモーターに対する転写活性化能、ならびに同じく先天性多数歯欠損症の原因遺伝子であるMsx1との相互作用を解析した。8変異中7変異において、DNA結合能や、Bmp4ならびにMsx1プロモーターに対する転写活性化能の喪失程度と欠損歯数に関連性を認めた。1変異に関しては、DNA結合能やBmp4ならびにMsx1プロモーターに対する転写活性化能の喪失がみられなかったが、比較的多数の欠損歯を認めた。これはBmp4ならびにMsx1プロモーターに対するMsx1との相助作用が影響したためだと考えられる。以上より、PAX9のDNA結合能が欠損歯数を決定する要因の一つとなっていることが推測された。また、バイオインフォマティクスの手法により構築した立体構造を解析することで得られた知見は、機能解析により得られた知見と類似性を示しており、欠損歯数の予測に応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)