2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群の早期発症型歯周炎に関与する宿主因子の検索
Project/Area Number |
20791572
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 旬平 Osaka University, 歯学部附属病院, 助教 (70362689)
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Keywords | ダウン症候群 / 歯肉上皮細胞 / 歯周炎 / Porphyromonas gingivalis / TLR / サイトカイン / LPS |
Research Abstract |
ダウン症候群由来歯肉上皮細胞を用いて,Porphyromonas gingivalis LPSをリガンドとするToll様受容体(TLR),および炎症性サイトカイン発現を調べた.結果,無刺激時にTLR2およびTLR4の恒常的な発現を認めた.P. gignivalis LPS刺激6,12および24時間でTLR2発現が有意に増加したが,TLR4発現は変化しなかった.炎症性サイトカインについては,P. gignivalis LPS刺激6時間で,IL-6およびIL-8発現の有意な増加を認めたが,12および29時間では無刺激時との有意な差を認めなかった.また,P. gingivalis感染によるサイトカイン産生は,IL-6とIL-8とも有意に増加していた.ダウン症候群由来歯肉上皮細胞における,TLR2およびTLR4の恒常的な発現は,非ダウン症候群由来細胞における報告と一致する.また,P. gingivalis LPS刺激時には,TLR2の発現は増加したが,大腸菌LPSをリガンドとするTLR4の発現には影響を及ぼさなかった.このことからP. gingivalis LPSに対する反応が,ダウン症候群と非ダウン症候群者とでは差がないと考えられた.通常は,TLRリガンド刺激のみでサイトカイン産生の増加は生じにくいと考えられているが,今回はP. gingivalis LPS刺激のみでサイトカイン産生の増加を認めた.これにより,歯肉上皮細胞における炎症反応の生じやすさが,ダウン症候群の歯周炎進行に関与すると考えられた.以上より,ダウン症候群の歯周炎進行の宿主因子の一端が明らかになったと考える.
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