2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨系細胞はいかにして機械的刺激を感じるか?―アクチン結合タンパクの役割を探る―
Project/Area Number |
20791575
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本城 正 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10379844)
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Keywords | 骨芽細胞 / 骨細胞 / アクチン結合タンパク質 / CTGF |
Research Abstract |
細胞は,その形態を維持するためにアクチンフィラメントに代表される細胞骨格を有している。そして,細胞に機械的刺激が加わると,細胞骨格の再構成が生じる。アクチン結合タンパクはアクチン繊維に結合するタンパクで,アクチン繊維への結合を介して高次構造の形成に中心的な役割を果たしているが,細胞に機械的刺激が加わった際にも,細胞骨格の再構成に応答して発現上昇することが知られている。機械的刺激に応じたアクチン結合タンパクの発現変化に関しては血管内皮細胞において検討されてきたが,骨芽細胞についての検討はほとんどなされていない。申請者らは,骨系細胞におけるアクチン結合タンパクの発現について検討し,その分布から骨系細胞に加わる機械的刺激に対する細胞の反応にアクチン結合タンパクが重要な役割を示すことを発見した。具体的には骨芽細胞は機械的刺激に対して即時に応答し,結合組織増殖因子(CTGF)を発現した。その発現は機械的刺激に対し時間的に,また強度依存的に比例することが明らかとなった。さらに機械的刺激によるCTGFの発現は,アクチンストレスファイバーの形成に比例して上昇するという知見を得た。つまりアクチンストレスファイバーの発現をコントロールするsmall GタンパクであるRhoの阻害剤を用いたところ,機械的刺激によるCTGFの発現は有意に減少した。さらに薬剤によるアクチンストレスファイバーの強制的な増加に比例してCTGFの発現が上昇した。またアクチン重合阻害剤を用いたところCTGFの発現が減少した。以上のことからCTGFの発現がアクチン重合と密接な関わりがあることが示唆された。今後は具体的にどのようなアクチン結合タンパクが関与しているのかを解明していく必要がある。
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