2008 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF受容体機能の解析および受容体中和抗体による骨吸収抑制効果の検討
Project/Area Number |
20791576
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
本川 雅英 Hiroshima University, 病院, 助教 (90457268)
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Keywords | 破骨細胞分化誘導 / VEGF-D / VEGF-C / Flt-4 / Flk-1 / op / opマウス / 破骨前駆細胞 / VEGFファミリー |
Research Abstract |
本研究は、VEGFファミリーが破骨細胞分化誘導能を有するか否かについて分子細胞学的に検討し、次いでそれらの受容体を特定し、これまでに我々の研究グループで行われた、大理石骨病マウス(op/opマウス)へのVEGF, VEGF-F投与が破骨細胞数に与える影響に関する検討を参照しながら、破骨細胞分化誘導経路を効果的に遮断することにより発揮される骨吸収抑制効果を組織学的あるいは免疫組織化学的に明らかにすることを目的としている。本年度の研究結果より、VEGFファミリーのひとつであるVEGF-Dがop/opマウスにおいて、破骨細胞誘導能を有するととが明らかとなった。また、破骨前駆細胞においてFlt-4、およびFlk-1の発現が確認され、破骨細胞誘導時のシグナル伝達経路の一部としてMAPK伝達系の活性化が示唆された。これらの結果より、VEGF-DはVEGF-Cと同様に血管新生とリンパ管新生の能力を併せ持つのみならず、他のVEGFファミリーとほぼ同程度の破骨細胞誘導能を有することが示された事は、歯の移動に対する促進剤として、これまで報告されたVEGFをはじめとし、VEGFファミリー全体としての臨床応用の発展に非常に有意義であったと考えられる。まだ、Flt-4についても破骨細胞誘導の経路である事が明確になったため、保定時の後戻りの抑制剤として、過去に報告されたFlt-1、Flk-1に加えFlt-4の中和抗体の応用や、これらの受容体とVEGFファミリーとの結合阻害剤の応用が考えられる。さらに、Flt-4、Flk-1の相互作用が、破骨細胞の分化誘導および成熟破骨細胞の機能発現にどのような影響を及ぼすか、次年度以降更なる検索を行っていくことが急務であるとともに、これらの臨床応用が期待される。
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