2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織における加齢メカニズムの解明と抗加齢医療への試み
Project/Area Number |
20791578
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 伸明 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90397969)
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Keywords | 歯肉線維芽細胞 / 宿主年齢 / ヒアルロン酸 / b-FGF / 感受性 |
Research Abstract |
歯肉組織の良質な創傷治癒には、適切な細胞増殖と細胞外基質の産生による組織の再構築が重要となる。bFGFは、線維芽細胞の増殖や分化を制御する因子として知られており、歯肉組織を構成する主要な細胞外基質であるヒアルロン酸(HA)と共に、歯肉組織の代謝および創傷治癒に深く関与していると推察される。本研究では、暦齢の異なるヒトあるいはラットから採取した歯肉由来線維芽細胞(GF)を用いて、bFGFによる細胞代謝およびアポトーシス誘導能について検討を行った。 (1) 6および12週齢のラット口蓋臼歯部の粘膜骨膜を切除し、口蓋創傷形成モデルを作製した。施術5日後にbFGF水溶液を手術部位の左右に各10μlずつ注入した。術後10日経過した時点でのbFGF注入群の口蓋創傷形成部の治癒過程におけるアポトーシス誘導能について組織学的観察によりPBS注入群と比較した。6および12週齢いずれのラット創傷モデルにおいても、bFGF注入群において創傷部の早期治癒が観察された。さらに、若年ラットの方が創傷部位の治癒が早かった。また、若年ラットのbFGF注入群において強いアポトーシス反応が確認された。 (2) 若年者(10歳以下)と成人(26歳以上)の歯肉組織よりGFを単離、培養した。bFGFによる刺激下でtype-Icollagen、fibronectin-1、HAS-2, -3の遺伝子発現を明らかにするとともに、若年群と成人群間の比較検討を行った。bFGFの添加により、type-I collagen、HAS-2,-3遺伝子発現は亢進したが、fibronectin-1遺伝子発現については変化がなかった。また、type-I collagen遺伝子発現は、成人より若年者の方が有意に高かった。以上のことより、歯肉組織へのbFGFの投与は、アポトーシスを誘導し、軟組織の創傷治癒に関与していることが示唆された。
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