2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791595
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
町田 麗子 (榎本 麗子) The Nippon Dental University, 生命歯学部, 助教 (00409228)
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Keywords | 歯学 / 障害児 / 摂食 / 脱感作 / 過敏症状 |
Research Abstract |
心身障害児は感覚に過敏性を有する場合があり,摂食機能障害児では感覚と運動の統合を図るため過敏症状を除去する脱感作を行うが, その方法の詳細は検討されてない。本研究は過敏の実態を明らかにすることで脱感作の効果に関わる要因分析と効果的な手法を検討, 心身障害児の摂食機能向上に寄与することを目的とした。本年度は基礎調査として過敏症状の実態調査と, 対照群として健常成人の摂食時の口唇運動の3次元的に解析した。 [研究1]某知的障害児施設で知的障害児75名(平均年齢13.8±3.7歳)に対し過敏症状の調査を行い14名(平均年齢14.0±4.0歳)の口腔周囲のみに過敏が認められ, 特に下顎歯肉では全員に認められた。過敏症状は上唇に認められやすいという従来の報告と異なり, 知的障害児の過敏症状は接触刺激の不足による接触拒否の可能性が示唆された。また14名全員に摂食機能障害が認められ,全身状態や食事状況などの調査と過敏の有無で有意差が認められた項目は, 知的障害の程度, BMI, 食事の自立, 歯磨きの拒否, 食形態, 食事時間,嚥下時の口唇閉鎖であった。 [研究2]健常成人5名(平均年齢28.4±3.4歳)に対し, 正常な嚥下の一例としてペースト食であるヨーグルト,異常嚥下の例として咀嚼が必要となる食物の丸飲みする動きを見るためにご飯を各8gともに丸飲みし, 口唇運動を3次元動作解析装置(Pc-MAG/SV)にて解析. 計測点は上唇結節部と下唇正中の赤唇と皮膚境界部各1点と, 左右口角, 眉間(基準点)の計5点とし, 最大牢引時と最大すぼめ時の平均変位量を求めた。下唇最大すぼめ時と口唇幅の最大牽引時にはご飯のまる飲みにおいてヨーグルトよりも変位量が大きくなったが, それ以外は逆の結果となった。異常運動としての丸飲みをする際の舌による複数回の送り込みや舌根部の押し広げをするといった異常運動は口唇の運動を見ることで推測できると考えられた。
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