2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791595
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
町田 麗子 (榎本 麗子) The Nippon Dental University, 生命歯学部, 助教 (00409228)
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Keywords | 歯学 / 障害児 / 摂食 / 脱感作 / 過敏症状 |
Research Abstract |
[目的]口腔周囲に過敏が認められる摂食機能障害児において、過敏特有の動きがあるのかなど、摂食機能に関与する過敏症状の詳細は明らかになっていない。今後の過敏の評価や脱感作の効果に寄与することを目的として摂食時の口唇運動を3次元動作解析した。 [対象と方法]対象は健常成人5名(平均年齢28.4±3.4歳)を対照群、摂食機能障害児7名(平均年齢13.1±7.2歳)を摂食機能障害群とした。摂食機能障害群のうち口唇や歯肉に過敏がある者と過敏の既往がある者4名を過敏群、ない者3名を過敏なし群とした。健常成人は初期食、摂食機能障害児は6名が初期食、1名が刻み食を一口摂取しその動きをPc-MAG/SVにて計測し3次元動作解析を行った。計測点は上唇結節部と赤唇と皮膚境界部各1点と、左右口角、眉間(基準点)の計5点とし、上唇運動は眉間から上唇基準点、口角運動は左右口角間距離を計測し、それぞれ最大牽引時と最大すぼめ時の変位率を求めた。統計学的分析にはSPSSを用いT検定を行った。 [結果]上唇運動と口角運動はともに対照群より摂食機能障害群の変化率が有意に大きかった(p<0.05)。また過敏群と過敏なし群では上唇運動に有意な差は認められなかったが、口角運動では過敏群で有意に変化率が小さかった(p<0.05)。 [考察]上唇運動と口角運動ともに対照群より摂食機能障害群において変化率が大きかったが、摂食時の口唇閉鎖が認められない症例もあり運動量の大きさが機能を補っているとはいえず、舌による複数回の送りこみや複数回嚥下といった異常運動の影響とも考えられる。過敏群では過敏なし群よりも上唇の変化率が小さかったことから、過敏による感覚異常が運動量の減少につながっていることも考えられるが、口角の変化率では過敏の有無による有意な差は認められなかった。今後、下唇の動きや安静時の上唇の位置についても検討することが課題である。
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