2008 Fiscal Year Annual Research Report
セメント芽細胞におけるカルシウム受容体の発現と活性化機構の解析
Project/Area Number |
20791605
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金谷 聡介 Tohoku University, 病院, 医員 (80375097)
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Keywords | セメント芽細胞 / 細胞外Ca^<2+> / Calcium-sensing receptor / FGF-2 |
Research Abstract |
Calcium-sensin recetorのようなGタンパク共役型受容はカルシウムの恒常性の維持に重要な役割を果たしている。これらの受容体は骨芽細胞の表面にも発現しており同細胞の分化に関与することが知られている。一方、細胞外Ca^<2+>に対するセメント芽細胞の反応に関してはあまり知られていない。 セメント芽細胞は歯根の表面にあり、骨芽細胞と類似したタンパク質を細胞表面に表出している。セメント芽細胞はセメント質および歯根膜の分化、再生に中心的な役割を果たしていると考えられている。 我々は、歯周組織の再生に関与する成長因子のmRNA発現について、マウスセメント芽細胞に対する細胞外Ca^<2+>の影響をin vitroにおいて解析した。マウスセメント芽細胞は、Somerman博士の研究室で樹立された不死化細胞株(OCCM-30)を実験に供した。 1) 高濃度細胞外Ca^<2+>(1.8〜10mM)刺激により、濃度依存的にFibroblast growth factor-2(FGF-2)mRNAの発現が3時間をピークにみられた。一方、他の成長因子、Platelet derived growth factor (PDGF-A)およびPDGF-Bなどについて有意差はみられなかった。 2) Calcium-sensing receptorアゴニストであるSpermine, NeomycinやGadlinium刺激したところ、Gadlinium刺激でFGF-2 mRNA発現の誘導がみられた。 3) 高濃度細胞外Ca^<2+>(10mM)刺激によるMAPキナーゼのリン酸化についてウェスタンブロッティングを用いて解析したところ、ERK1/2のリン酸化が10分をピークとしてみられた。 4) ERK1/2の阻害剤であるPD98059を用いてOCCM-30を前処理したところ、細胞外Ca^<2+>(によるFGF-2mRNAの発現の増強は抑制された。 以上の結果から、マウスセメント芽細胞において、細胞外Ca^<2+>がMAPキナーゼを介してFGF-2 mRNA発現を増強することが分かった。今後受容体およびシグナル伝達機構を同定することにより、新しい歯周組織再生治療の確立に貢献することが期待できる。 (以上の内容は86th International Association for Dental Research, Tbronto, Canadaにおいて研究発表したものからまとめました。)
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