2009 Fiscal Year Annual Research Report
セメント芽細胞におけるカルシウム受容体の発現と活性化機構の解析
Project/Area Number |
20791605
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金谷 聡介 Tohoku University, 病院, 医員 (80375097)
|
Keywords | セメント芽細胞 / 細胞外カルシウム / Calcium-sensing receptor / FGF-2 |
Research Abstract |
Calcium-sensing receptorのようなGタンパク共役型受容体はカルシウムの恒常性の維持に重要な役割を果たしている。これらの受容体は骨芽細胞の表面にも発現しており同細胞の令化に関与することが知られでいる。一方、細胞外Ca^<2+>に対するセメント芽細胞の反応に関してはあまり知られていない。 セメント芽細胞は歯根の表面にあり、骨芽細胞と類似したタンパク質を細胞表面に表出している。セメント芽細胞はセメント質および歯根膜の分化、再生に中心的な役割を果たしていると考えられている。 我々は、歯周組織の再生に関与する成長因子のmRNA発現について、マウスセメント芽細胞に対する細胞外Ca^<2+>の影響をin vitroにおいて解析した。マウスセメント芽細胞は、Somerman博士の研究室で樹立された不死化細胞株(OCCM-30)を実験に供した。 1)高濃度細胞外Ca^<2+>(1.8~10mM)刺激により、濃度依存的にFibroblast growth factor-2(FGF-2)mRNAの発現が6時間をピークにみられた。 2)PKC阻害剤であるGF-109203X前処理ではFGF-2 mRNA発現の抑制はみられなかった。また、PMAによるPKC枯渇時においてもCaによるFGF-2 mRNA発現誘導に影響がみられなかった。 3)PKA阻害剤であるMDL-12330AおよびH-89前処理ではFGF-2 mRNA発現誘導が抑制された。また、Ca刺激によってcAMP濃度の上昇が認められた 4)免疫染色にてFGF-2タンパクの発現誘導を解析したところ、Ca刺激でFGF-2タンパクの発現誘導がみられた。 5)カルシウムイオンチャンネル阻害剤であるNifedipineおよびCa Ionophore存在下でCa刺激したところ、FGF-2 mRNA発現の抑制はみられなかった。 6)Calcium-sensing receptorのアゴニストではFGF-2 mRNA発現誘導はみられなかったが、Sr^<2+>,Al^<3+>,Gd^<3+>刺激ではFGF-2 mRNAの発現誘導がみられた。 以上の結果から、セメント芽細胞において、細胞外Ca^<2+>がcAMP/PKA依存件にFGF-2 mRNA発現を増強することが分かった。この反応は陽イオンを認識するCalcium-sensing receptorに類似したGタンパク共役型受容体を介している可能性がある。これらの知見は、新しい歯周組織再生治療の確立に有用であると考えられる。
|
Research Products
(3 results)