2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織におけるマレイン酸イルソグラジンの抗炎症作用の解析
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20791613
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 剛 Hiroshima University, 病院, 助教 (80379883)
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Keywords | マレイン酸イルソグラジン / 歯肉上皮細胞 / Aggregatibacter actinomycetemcomitans / IL-8 / p44 / 42 Map kinase (ERK) / tight junction / adherence junction / 歯周病予防薬 |
Research Abstract |
マレイン酸イルソグラジン(IM)は, Helicobacter. Pylori刺激によって誘導される胃粘膜上皮細胞のIL-8産生を抑制し, 細胞間連絡能(gap junction)を促進することにより胃粘膜防護治療薬として臨床応用されている。これまでに研究者は, IMが歯周病原細菌Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)およびAaの外膜タンパク質OMP29刺激によって誘導されるヒト歯肉上皮細胞(HGEC)のIL-8産生促進を抑制すること, および細胞間接着装置(gap junction, tight junction)の発現低下を回復することをin vitroの研究において明らかにした。 今年度の研究では, IMによるIL-8の産生抑制は, HGECにおいてAa刺激によるp44/42MAP kinase (ERK)のリン酸化をIMが抑制することにより, IL-8の産生を制御していることが解明された。さらにF344ラットを用いたin vivoの実験では, IMを投与したラットでは, 歯肉溝にAaを塗布することによる歯肉上皮下の炎症所見が抑制されることが明らかとなった。さらに, Aaは歯肉上皮のtight junction, adherence junctionなどの細胞間接着装置の発現を減少させることが免疫組織化学的に解明された。しかしながら, IMを投与することにより, Aaによって誘導される細胞間接着装置の減少が回復することが明らかとなった。これらのことから, IMが歯肉上皮下の炎症を抑制することによって, 歯周病予防薬としての可能性があることが示唆された。
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