2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル伝達経路をターゲットとした歯槽骨再生薬の開発に関する研究
Project/Area Number |
20791616
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 英津子 Kyushu University, 大学病院, 助教 (20432924)
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Keywords | 骨芽細胞 / Wntシグナル / anti-Dkk1抗体 / 骨再生 |
Research Abstract |
骨芽細胞の分化を調節するWntシグナルという重要なシグナル伝達経路をターゲットにした歯槽骨再生薬の開発に関する研究を行った。骨芽細胞特異的に発現するDkk1というタンパク質に着目した。 平成20年度は、in vitro、in vivoでのDkk1の作用を検討することであった。 1. DkK1のantisenseもしくはsiRNAを骨芽細胞様細胞に導入し、in vitroでの細胞数および骨芽細胞分化マーカー発現に対する影響を検討する。 はじめに、anti-Dkk1抗体を用いて、Wntシグナルを増強させたときの骨芽細胞への影響について検討した。細胞はMC3T3-E1細胞(マウス頭蓋冠由来骨芽細胞)およびSaOS-2(ヒト骨肉腫由来骨芽細胞様細胞株)を用いた。RT-PCR法によるmRNA発現、ウエスタンブロット法によるタンパク質の発現を検討した。その結果、anti-Dkk1抗体を添加したものでは、骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ、オステオカルシンの発現が、mRNA・タンパク質ともに増加していた。 また、von Kossa法を用いて、anti-Dkk1抗体の骨芽細胞の石灰化に対する影響を検討した。anti-Dkk1抗体は、石灰化を促進させることが明らかとなった。この作用は、Wnt-3aを添加したものと同程度であった。 現在、Dkk1のsiRNAを骨芽細胞様細胞に導入しており、その影響を検討しているところである。 2. anti-Dkk1抗体の全身投与を行い、骨再生に関してその影響を検討する。 当初歯槽骨欠損モデル(歯周炎を便宜的に起こしたもの)を作製する予定であったが、その前に大腿骨に人工的に骨欠損を作製した状態で、anti-Dkk1抗体を投与することとした。コントロール群と比較して、肉眼的に骨量の増加が認められた。現在、組織切片を作製し、免疫化学的染色を行い、骨系のマーカーの発現の程度、再生したと考えられる部位の状況を詳細に検討している。
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