2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20791631
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 申江 東北大学, 病院, 医員 (50396503)
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Keywords | 視覚情報 / 自閉症 / 脳機能 / 適応 |
Research Abstract |
自閉症は発達障害の中でも情報認知と処理に困難を示す特徴があり、歯科的環境において様々な刺激やストレスによりパニックなどの不適応行動がみられることが多い。しかし、適切な情報提示方法を検討することにより歯科的環境での適応をはかるため、健常成人と自閉症者に対し情報提示方法別に光トポグラフィーを用いて脳機能学的評価を行った。さらに、口腔内への関心をアンケートによって調査し、歯科診療での適応につながる背景を探った。健常成人では、すべての情報提示方法におけるTotal-Hbは左言語野や背内側で他の領域よりも高い値を示す傾向がみられた。また、アンケートによる主観的評価と客観的評価の情報提示方法別比較では、主観的評価では視覚的情報と聴覚的情報の同時提示を最もわかりやすかったと回答するものが多かったが、脳機能学的には、必ずしも同領域のTotal-Hb値が高いとは限らずばらつきが大きくみられた。一方、自閉症者では、すべての情報提示方法におけるTotal-Hbは、前額部で他の領域よりも高い値を示すものもいた。主観的評価では聴覚的情報提示が最もわかりやすかったと評価していたが、客観的評価との検討では健康成人と同様にばらつきが認められた。アンケート結果については、健常成人では「歯磨きの仕方を習ったことがある」、という項目が視覚的評価スケールの平均値が最も高かったが、自閉症者では、「治療よりも口の中の健康を守るために歯科医院に通院している」が最も大きい値を示した。自閉症者の保護者では、「歯みがきは大切である」が最も高い値を示していた。健常成人と自閉症者双方において、情報認知に関して主観的評価と脳機能学的な客観的評価には個人差もみられるが、視覚的情報と聴覚的情報の同時提示は「わかりやすさ」を助けている傾向があり、自閉症以外の発達障害への応用も有効であると考えられた。
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