2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルサポートと、う蝕の地域格差の関連のマルチレベル分析を用いた研究
Project/Area Number |
20791633
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相田 潤 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (80463777)
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Keywords | ソーシャルサポート / ソーシャルネットワーク / う蝕 |
Research Abstract |
目的:乳幼児の保護者のソーシャルサポートやソーシャルネットワークは、乳幼児の行動や健康状態を形作ると考えられる。本研究の目的は、保護者のソーシャルサポートやネットワークと歯科保健状態の関連を検討することである。 方法:2008年から2010年にかけ、1歳6カ月、2歳6カ月、3歳6カ月児の歯科健診および保護者への質問紙による調査を行った。本分析では、2008年から2009年の3歳児の結果を示す。ソーシャルネットワーク、ソーシャルサポート、教育歴、歯科保健行動、乳幼児の食生活に関する質問紙調査および歯科健診は保健センターで実施された。ソーシャルサポートおよびネットワークはそれぞれ6つの質問により把握された。ロジスティック回帰分析により、教育歴、歯科保健行動、乳幼児の食生活を調整したうえでの、ソーシャルネットワーク、ソーシャルサポートと乳幼児う蝕との関連を検討した。 結果:552人の健診受診者のうち、529人の保護者が研究に参加した(95.8%)。3歳児のう蝕有病者率は31.4%でdmft指数は1.04であった。単変量ロジスティック回帰分析の結果、3つのソーシャルサポート変数(子育て支援センターや児童館の利用、習い事や教室の利用、祖父母の支援)および4つのソーシャルネットワーク変数(仕事のつながり、趣味のつながり、町内会などのつながり、宗教グループのつながり)、4つの共変量(教育歴、甘い飲み物の開始時期、間色頻度、保護者の喫煙)がう蝕を増加させる方向の関連が強かった(p<0.1)。これらの変数を同時に投入した多変量ロジスティック回帰分析の結果、ソーシャルサポート変数は有意(p<0.05)な関連を示さなかった。保護者の趣味および宗教団体への参加は、乳幼児う蝕の増加に有意に関連した(OR=1.81(95% CI=1.05-3.13)およびOR=6.42(95% CI=1.58-26.04)。 結論:認知されているソーシャルサポートの変数は3歳児のう蝕経験と有意な関連を示さなかった。ネットワークから享受するサポートがう蝕に関連する可能性が示唆された。
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