2008 Fiscal Year Annual Research Report
不顕性誤嚥の評価を可能とする摂食・嚥下障害のスクリーニングテスト
Project/Area Number |
20791634
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
戸原 玄 Nihon University, 歯学部, 准教授 (00396954)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 不顕性誤嚥 / スクリーニングテスト |
Research Abstract |
不顕性誤嚥を検出するスクリーニングテストの目的で超音波ネブライザより1.0重量%クエン酸生理食塩水溶液を経口より吸入させる咳テストが有用であるかを検討した。まず、204人の摂食・嚥下障害患者に対して咳テストの結果と、摂食・嚥下障害の精査である嚥下造影(VF)および嚥下内視鏡(VE)の結果を比較したところ、不顕性誤嚥検出の感度は0.87、特異度は0.89と非常に良港であることがわかった。さらに、誤嚥のスクリーニングテストとして用いられている改訂水飲みテストと咳テストを組み合わせることで、不顕性誤嚥の有無のみならず、患者の状態を分類できるかどうかをVFおよびVEの結果と比較検討したところ、VFやVEで健常であると判断された55名中49名が咳テストで健常、VFやVEで不顕性誤嚥疑いと判断された16名中咳テストでは7名が健常、7名が不顕性誤嚥疑い、VFやVEで顕性誤嚥と判断された19名中咳テストでは14名が顕性誤嚥、VFやVEで不顕性誤嚥と判断された17名中咳テストでも15名が不顕性誤嚥との判定となった。 また、原因疾患別にも咳テストの有用性について検討を行った。脳血管障害患者におけるSAのスクリーニングの結果は、管度0.76、特異度0.82、頭頚部腫瘍患者では感度1.00、特異度0-97、神経筋疾患患者では感度0.83、特異度0.84、呼吸器疾患患者では感度0.67、特異度0.81、気管切開のある患者では感度0.71、特異度1-00、認知症患者では感度1.00、特異度1.00とそれぞれに有用であるとの結果が得られた。 更に、介入時に咳テストを行った73名の摂食・嚥下障害患者に対して肺炎発症の予後予測が可能かを検討した。2年の予後で咳反射が正常であった患者では2%が肺炎、咳反射減弱もしくは消失していた患者では38%が肺炎を発症していたことがわかった。
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