2009 Fiscal Year Annual Research Report
不顕性誤嚥の評価を可能とする摂食・嚥下障害のスクリーニングテスト
Project/Area Number |
20791634
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
戸原 玄 Nihon University, 歯学部, 准教授 (00396954)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 不顕性誤嚥 / スクリーニングテスト |
Research Abstract |
昨年度の研究結果において不顕性誤嚥を検出するためのテストとして超音波ネブライザを用いてクエン酸溶液を経口的に吸入させる咳テストを行い、1分間に5回の咳が惹起されるかを指標としたところ、テストの有用性については検証された。ただし、機材が大きく訪問診療などでは使用しづらいこと、1分間に5回の咳の惹起が患者の身体的負担が大きいことが問題を点として挙げられた。つまり、スクリーニングテストの具備すべき条件として、安全、簡便、迅速、低コストがあるが、原法では簡便性とコストの問題が残存していると考えられた。 そこで本年は、小型の機械を用いた場合のテストの有用性、方法を簡素化した場合のテストの有用性について検証した。129名の摂食・嚥下障害患者に対してハンディなメッシュ式ネブライザを用いて咳テストを行ったところ、感度0.88、特異度0.71の結果が得られたため、大型の超音波ネブライザと同様に有効なテストを行うことができた。これは超音波ネブライザとメッシュ式ネブライザよりの粒子の大きさがほぼ同様であることが理由として考えられた。さらに、このような小型の機器を用い、かつ初回の咳反射がクエン酸吸入後何秒であったかを判定基準に使うことができるかを検討するために40名の患者に対して咳テストを行った結果をROCにて検討した。吸入後15から20秒をカットオフとすると感度0.93、特異度0.92の結果が得られた。方法の簡素化については検者数がまだ少ないために今度も検討の余地があるものの、本年度の結果より、小型の機材を用いて、かつ簡素な方法を用いた場合にも同じく有効な検査結果が得られることが分かったため、咳テストの簡便性とテストにかかるコストの問題が解決された。
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