2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータンスレンサ球菌の菌株による齲蝕原性の違いに注目した遺伝子検査法の開発
Project/Area Number |
20791635
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 昇 Niigata University, 医歯学系, 助教 (00397126)
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Keywords | 歯学 / ミュータンスレンサ球菌 / 齲蝕原性 |
Research Abstract |
齲蝕の主な原因菌であるStreptococcus mutansが口腔内にそれほど存在していないにもかかわらず、齲蝕を発症する児童に遭遇することがある。こうした児童では、S.mutansが菌数的には問題ないレベルにあるが、存在するS.mutans株が、特に齲蝕を誘発する能力の高い菌株である可能性がある。S.mutansの齲蝕原性として、非水溶性グルカン合成能に注目し、非水溶性グルカン合成酵素をコードするgtfB遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、およびgtfB遺伝子をシークエンシングするためのプライマーを設計した。これらのプライマーを用いて、小学生の刺激唾液から分離したS.mutans、約70株について、gtfB遺伝子全体の塩基配列を決定した。 gtfB遺伝子によってコードされるGtfBは、C末端側に3.5回の繰り返し構造を持つ。この部分は、glucan-binding domainと呼ばれ、この酵素がグルカンを合成する上で重要な領域である。 今回、調べたS.mutans臨床分離株のうち、このglucan-binding domainの一部を欠失して、繰り返し構造が2.5回分となっている株、および一部挿入されて繰り返し構造がが4.5回分となっている株がいくつか見つかった。このうち、繰り返し構造が2.5回分となっている菌株については、非水溶性グルカン合成能が低下する傾向が認められた。 今後は、他の領域における遺伝子変異とグルカン合成能との対応の検討、およびグルカン合成能に影響を与えている遺伝子変異を容易に検出できるPCRプライマーの設計を行う予定である。
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