2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータンスレンサ球菌の菌株による齲蝕原性の違いに注目した遺伝子検査法の開発
Project/Area Number |
20791635
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 昇 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00397126)
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Keywords | 歯学 / ミュータンスレンサ球菌 / 齲蝕原性 |
Research Abstract |
齲蝕の主な原因菌であるStreptococcus mutansが口腔内にそれほど存在していないにもかかわらず、齲蝕を発症する児童に遭遇することがある。こうした児童では、S.mutansが菌数的には問題ないレベルにあるが、存在するS.mutans株が、特に齲蝕を誘発する能力の高い菌株である可能性がある。 S.mutansの齲蝕原性として、非水溶性グルカン合成能に注目し、小学生の刺激唾液から分離したS.mutans、72株について、非水溶性グルカン合成酵素をコードするgtfB遺伝子の塩基配列を決定した。 S.mutansのgtfB遺伝子は3'末端付近に、通常3.5回の反復配列を認めるが、今回調べた72株のうち9株で反復回数に変化が見られ、そのうち6株は2.5回の反復、3株は4.5回の反復であった。また、それぞれの株の非水溶性グルカン合成能は、反復回数が2.5回の株が29.0±21.6μg/ml broth、3.5回の株が85.2±41.1μg/ml broth、4.5回の株が91.4±50.8μg/ml brothであり、2.5回の株は3.5回の株に比べ有意に低値を示した(p=0.007;ANOVA+Scheffe's test)。 この反復配列部分は、この酵素がグルカンを合成する上で重要な領域であるglucan-binding domainをコードしている。S.mutansは菌株によって非水溶性グルカン合成能に差が見られることが分かっているが、本研究の結果より、その差の一部は鰐遺伝子の3'末端付近の反復配列における、反復回数の変異によるものであることが示唆された。また、この反復配列を含む領域を増幅するPCRプライマーを設計することで、反復回数を容易に判定する検査法を構築した。
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Research Products
(2 results)