2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成における歯周病細菌の新たな情報伝達系因子の役割
Project/Area Number |
20791638
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 和彦 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (00346165)
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Keywords | 歯周病 / Phosphtyrosing phosphatase / バイオフィルム / Porphyromonas gingivalis / エキソポリサッカライド / LuxS / 共焦点顕微鏡 / 口腔レンサ球菌 |
Research Abstract |
有力な歯周病細菌の一つであるPorphyromonas gingivalis ATCC 33277におけるPhosphotyrosine phosphalase (PtpA)の役割を明らかにするため、ptpA遺伝子を形質転換した大腸菌からリコンビナントタンパク質を作成した。酵素活性を測定したところ、ホスホチロシンに特異的に酵素反応があった。さらに、ptpA遺伝子をノックアウトしたミューテーション株やptpA遺伝子を再挿入したコンプリーメント株を作製した。スライドチャンバーに口腔レンサ球菌を一晩培養し、P. gingivalisの野生株、ノックアウト株およびコンプリーメント株をそれぞれ共培養し、共焦点顕微鏡にてバイオフィルム形成状態を比較したところ、ノックアウト株のみ大きく発達したバイオフィルムを形成した。増加した原因を調べたところ、これらの菌株をエキソポリサッカライドに関連した遺伝子群をリアルタイムPCRによって定量比較したところ、8個の遺伝子群が野生株と比較して増減し、共焦点顕微鏡でエキソポリサッカライドの発現量の変化においてノックアウト株が増加した。さらに、リアルタイムPCRによって、クオラムセンシングに関係したP. gingivalisのluxS遺伝子変化を調べたところ、野生株に比べてノックアウト株が増加じた。一方で、P. gingivalisの野生株とノックアウト株を二次元電気泳動でタンパク質におけるリン酸化チロシンのスポットを比較したところ、PtpAはジンジパインプロテアーゼ(KgpやRgpA/B)のチロシン基の脱リン酸化にも影響を与えていることがわかった。これにより、P. gingivalisにおけるPtpAの役割のいくつかを明らかにし、バイオフィルム形成を制御する情報伝達系の一端を解明することができた。
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Research Products
(2 results)