2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成における歯周病細菌の新たな情報伝達系因子の役割
Project/Area Number |
20791638
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 和彦 Osaka University, 歯学研究科, 助教 (00346165)
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Keywords | 歯周病 / Phosphotyrosine phosphatase / バイオフィルム / Porphyromonas gingivalis / Kgp / Rgp / 鉄 / リン酸化チロシン |
Research Abstract |
有力な歯周病細菌の一つであるPorphyromonas gingivalis ATCC 33277におけるPhosphotyrosine phosphatase(PtpA)の役割をさらに明らかにするため、ptpA遺伝子をノックアウトしたミューテーション株やptpA遺伝子を再挿人したコンプリーメント株を作製した。P. gingivalisの野生株とノックアウト株の菌体タンパク質を溶解し、リン酸化チロシン抗体のアフィニティゲルによる免疫沈降をし、抽出したタンパク質を二次元電気泳動で分離した。異なる3つのスポットを比較し、質量分析で同定したところ、PtpAはジンジパインプロテアーゼ(KgpやRgpA/B)のチロシン基の脱リン酸化に影響を与えていることがわかった。また、野生株とノックアウト株の表層タンパク、菌体全体、分泌タンパクのジンジパインプロテアーゼ活性を比較したところ、Kgp活性とRgp活性に有意な差が認められた。さらに、ptpA遺伝子が欠損することでP. gingivalisの鉄獲得遺伝子に関与し、放射性同位ラベルした鉄の獲得にも有意な差が認められた。P. gingivalis菌体のタンパク質を二次元電気泳動し、リン酸化タンパク質染色剤によりチロシンだけでなく、セリンやトレオニンなどの他の残基のリン酸化に影響することを明らかにした。これにより、P. gingivalisにおける新たなPtpAの役割のいくつかを明らかにし、口腔レンサ球菌とのバイオフィルム形成だけでなく、形成の際の鉄獲得や増殖を制御する情報伝達系の一端を解明することができた。
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