2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報提供機関の違いによるテレビからの口腔保健関連情報の分析
Project/Area Number |
20791651
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
阿部 智 Kanagawa Dental College, 歯学部, 助教 (90376749)
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Keywords | マスメディア / テレビ / コマーシャル / 歯科保健 |
Research Abstract |
目的:このマスメディアからの情報発信の重要性が保健医療分野においても認識されるようになり、「健康日本21」の中には目標達成のための環境づくりとして、「マスメディアの活用」が盛り込まれた。従来から重視されていた専門家が発信する直接的な健康情報の提供ではなく、特に歯科分野では、一般の人が無意識に受ける間接的な情報の検証はされていなかった。政府などのパブリックセクターと企業などのプライベートセクターとでは健康情報の内容や提供方法が大きく異なることは指摘されており、本研究では、プライベートセクターからの健康情報の内容を分析した。 方法:日本の主要歯科衛生用品メーカー3社が放映するテレビコマーシャル(TVCM)を対象とした。TVCMは各社のアーカイブから直接入手した。対象年は1989年から2002年で、対象総数は82本であった。放映内容の分析は、事前に放映内容を確認した後に作成した分析表をもとに健康情報の内容の定量分析を行った。 結果:商品別に分類したところ、歯磨剤(80.5%)が最も多く、次いで歯ブラシ(37.8%)、洗口液(28.0%)、その他(18.3%)であった。対象疾患は、歯周病(59.8%)と最も多く、次いで齲蝕(24.4%)であった。疾患への対策としては、齲蝕ではプラークコントロール(45.0%)が多く、フッ化物による歯質強化15.0%であった。歯周病については殺菌(55.1%)、プラークコントロール(12.2%)が多く取り上げられていた。 考察:患者は潜在的にTVCMの影響を受ける。患者が持つ情報は必ずしも専門家と同じとは限らず、患者がどのような健康情報に接しているかを知ることは保健指導、健康教育などの際の需要な資料となる。本研究では、専門家が齲蝕予防で最重要視するフッ化物応用の情報提供が極端に少ないことが判明した。専門家は患者が齲蝕予防とフッ化物がリンクしていないことを念頭に入れ、それに対応した保健指導に臨むことが必要である。また、パブリックセクターを代表するメーカーなどの企業は、テレビを通じて提供する健康情報が及ぼす影響の大きさを認識し、望ましい情報提供のあり方を考慮する必要がある。
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