自然災害時の精神障害者の生活再構築を目指したサポート体制への一試案

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20791658
• Research Institution: Gunma University
• Principal Investigator: 坂入 和也 Gunma University, 医学部, 助教 (80361369)
• Keywords: 看護学 / 自然災害 / 精神障害者

Research Abstract

本研究の目的は、様々な自然災害が発生した際に、精神障害者のサポートのための災害種別ごとの問題点と、援助過程における課題の抽出を行い、災害被災後の精神障害者への支援体制を調査し、その課題を明らかにすることである。また、その調査結果をもとに、精神障害者への生活の再構築を目指した、災害時支援体制の確立と、充実した地域でのサポート体制作りを目指した、様々な自然災害時の精神障害者への災害ごとの特性に基づいた支援体制の一試案を作成することである。本年度は、昨年度実施した実態調査をもとに、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者サポート体制の一試案の作成を行った。この試案の作成に当たっては、全国の自治体や事業所の災害対策マニュアルも参考にしている。さらに、自治体関係者、保健師、看護師、ボランティア経験者などにより、作成された自然災害時における試案についての検討の機会を設けた。その際、精神障害者ばかりでなく、地域で生活する住民を含めた精神保健活動との関連や、自治体と連携を持ち、長期的な生活支援対策の必要性などの問題点が挙げられた。これらの一連の過程を通して、災害の種類によって、求められる支援は異なってくることと、被災後に残された機能(施設及び援助者)の状況によって、体制を一概に決定付けることはできないことが、明らかにされた。生活の再構築のためには、環境調整と、精神障害者本人への働きかけを同時に行われなければならないという、支援を行うものの援助内容についての再検討と、また、精神障害者と地域との関係性についての考慮が必要であると考えられた。