2008 Fiscal Year Annual Research Report
患者の情報プライバシーを考慮した医療施設間情報共有のあり方
Project/Area Number |
20791670
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
守田 恵理子 Nagoya City University, 看護学部, 助教 (10423849)
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Keywords | 看護学 / 患者情報 / 情報共有 / 情報プライバシー / プライバシー保護 / 看護サマリー |
Research Abstract |
看護では患者の転院時に多くの施設で看護退院サマリー(以下サマリーとする)による情報提供が行なわれている。これは、個人情報保護法上は基本的に個人情報の第三者提供に当たるが、黙示の同意が得られている場合は個別に同意を得る必要はないとされ、個別の同意を得て送付している施設は少ないと考える。しかし自己情報コントロール権等の観点からは様々な問題が在ると懸念される。本研究では、資料施設における個人情報取扱いの掲示の実態、看護退院サマリーの内容と看護師の意識、サマリーを受け取る施設での取扱いの実態を明らかにした。医療施設における質問紙調査は、愛知県内の100床以上の全病院を対象として、協力の得られた62施設の看護管理者62名、看護師1895名に対して行なった。今回調査をした全ての施設でサマリーを作成していた。個人情報取扱いに関する掲示は約9割の施設で行なっていた。サマリー送付時に患者に提示しているものは1割で、同意を得ているのは2割だった。サマリーに記載する情報の詳細さとプライバシーへの配慮については有意な正の弱い相関が認められた。治療に関する情報や看護ケアに必要な情報は詳細に記載する傾向が見られたが、患者の基本情報、人格、家族の情報については記載をしない若しくは概要のみの記載をする者が多かった。サマリーを受け取る施設として、愛知県内の訪問看護ステーションなど3施設でインタビューを実施した。受手は患者個々のカルテにはさみ保管し、サマリー情報は施設内の多くの職種、更に家族とも共有していた。サマリー送付にあたり患者個々の同意を得ている病院は少数だったが、法律上は概ね問題はなかった。しかしプライバシーに強く関わる個人情報が詳細に記載され提供されているため、患者の自己情報コントロール権に即した情報共有の在り方の検討が示唆された。
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