2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791677
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Research Institution | Gumma Paz College |
Principal Investigator |
佐藤 晶子 Gumma Paz College, 保健科学部, 助手 (90458472)
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Keywords | 麻痺手 / におい / 手浴 / 石けん |
Research Abstract |
片麻痺患者の麻痺手に健手にはない独特の不快臭を伴う事があることに着目し、その不快臭増悪の原因や条件の明確化、および、それら不快臭増悪因子を除去するための援助方法の検討を目的とした調査を行った。療養型病院に入院中の片麻痺手を持つ患者を対象に、両手掌部の細菌数・発汗量・におい・表面温湿度を石けん手浴の前後、経時的に測定した。細菌数は、拭き取り検査用滅菌綿棒「ふきふきチェックII」 (栄研化学株式会社)で両手掌部をそれぞれ拭き取って細菌を採取し、SCD寒天培地(デンカ生研株式会社)にて35℃・24時間培養して形成されたコロニー数をカウントした。発汗量は、発汗計SKD-1000(西澤電機計器製作所)を用いて両手掌部をそれぞれ連続5分間測定した。においは、ポータブル型ニオイセンサXP-329IIIR(新コスモス電機株式会社)で両手掌部をそれぞれ2分間測定し、併せて6段階臭気強度表示法と9段階快不快度表示法でも評価した。また、ADL・麻痺発症後の期間・清潔ケアの実施状況なども把握した。麻痺手の手掌部は健手に比べて細菌数が多く、発汗量では両手掌部に差がみられなかった。また、拘縮のある麻痺手の手掌部のにおいは健手に比べて高い傾向がみられた。細菌数・においの経時的な変化では、石けん手浴直後に低値を示し、24時間後、48時問後と徐々に増加し、72時間後には石けん手浴直前と同程度であった。麻痺発症後の期間が長いほど細菌数は健手に比べて麻痺手で高値を示し、ADLが低く拘縮が強いほどにおい・手掌部表面湿度が高値であった。以上のことより、麻痺手不快臭の発生は麻痺手の拘縮状態・表面湿度に関連があることが明らかになり、石けん手浴を2~3日に1回以上行うことで不快臭の発生を抑制できることが示唆された。
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