2008 Fiscal Year Annual Research Report
介護老人保健施設職員が受ける暴力被害の実態と被害者の体験に関する研究
Project/Area Number |
20791687
|
Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
百田 武司 The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing, 看護学部, 准教授 (30432305)
|
Keywords | 介護老人保健施設 / 暴力被害 / 実態調査 / 被害者 / 体験 |
Research Abstract |
老健における職員が受ける暴力被害について全国調査し, 実態を明らかにすることを目的に, 社団法人全国介護老人保健施設協会に加入している約3300施設から抽出した200施設の施設長に対し, 調査協力の有無と調査票の必要部数の回答を得た. 次に, 協力が得られた施設に調査票を送付し, 対象者に配布を依頼した. 本研究は, 日本赤十字広島看護大学の研究倫理委員会の承認を得た. 73施設(36.5%)の協力を得た. 調査票は1245通発送し, 1191通(95.7%)回収した. 対象者の職種では介護職が56.8%で最も多かった. 過去1年間の身体的暴力発生状況では, 「受けたことがある」が62.7%であった. 身体的暴力を受けた頻度は, 「月に数回」が28.0%で, 職場ではよくある暴力かについて「はい」は71.2%であった. 加害者は「利用者・ケア対象者」が98.7%で, 加害者の認知症の有無について「あり」が97.0%で,そのうち49.0%が「重度の認知症」であった. 身体的暴力に対しての対処法として「何もしなかった」が29.9%であり, その理由として「報告しても仕方ないと思った」が21.0%であった. 老健職員が受ける身体的暴力被害は, 先行研究における他の保健医療福祉施設の職員よりも多く, また加害者の多くに重度の認知症があった. また, 施設における身体的暴力被害の報告や対策が十分機能していないことが考えられる. そこで, 老健における身体的暴力に対して, 施設全体で取り組み, 職員教育や被害者支援のシステム構築など体制を整備することが求められる. また, 上記調査において, 暴力被害の経験のあるもののうち, 面接調査を希望する者をリクルートし, 20名の了解が得られた. 今後, 対象者の所属する施設を訪問し, 暴力被害の詳細と, 暴力被害のうけたことの体験を明らかにするための面接調査を実施する.
|