2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢がん患者の背部マッサージによる症状緩和効果の検証
Project/Area Number |
20791688
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Research Institution | Ube Frontier University |
Principal Investigator |
藤田 佳子 Ube Frontier University, 看護学部, 助教 (30341241)
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Keywords | 癌 / 症状緩和 / マッサージ / 高齢者 / 看護技術 |
Research Abstract |
本研究は、がん患者なかでも現在増加の一途をたどっている高齢がん患者に着目し、高齢がん患者の背部マッサージによる症状緩和効果の検証を行うものである。本研究は全3段階で構成されており、各段階の内容は第1段階「背部マッサージの手技に関する研究」、第2段階「健康な成人および高齢者に対する背部マッサージ効果の検証」、第3段階「高齢がん患者に対する背部マッサージ効果の検証」である。 本年度は第2段階の「健康な成人に対する背部マッサージ効果の検証」および「健康な高齢者に対する背部マッサージ効果の検証」を実施した。なお、「健康な高齢者に対する背部マッサージ効果の検証」については、現在も実験中であるため、研究成果については実験終了後、今年度中に報告する。 1. 健康な成人に対する背部マッサージ効果の検証 対象者の平均年齢は、平均年齢21.8(±1.8)歳であり、身長169.7(±7.9)cm、体重61.3(±10.9)kgであった。既往歴があると回答した者は、8名(33.4%)であり、アトピー性皮膚炎や喘息などであった。健康維持方法については、あると回答した者は15名(62.5%)であり、そのほとんどはバドミントンやランニングなどのスポーツを定期的に行っていた。背部に手を触れられることに抵抗を示したものは4名(16.7%)であったが、背部マッサージ中あるいはマッサージ後も特に拒否や違和感などみられなかったため、マッサージの介入を実施した。 背部マッサージの介入前後の心理的変化では、POMS短縮版のうち緊張-不安(t(23)=3.82,p<0.05)、抑うつ-落ち込み(t(23)=2.41,p<0.05)、疲労(t(23)=4.08,p<0.05)、混乱(t(23)=3.47,p<0.05)の項目において、マッサージ介入前より介入後に有意な低下がみられ、簡易倦怠感尺度(t(23)=4.43,p<0.05)においても、マッサージ介入後に有意な低下がみられた。また、背部マッサージ介入前後の身体的変化では、心拍数(t(23)=2.67,p<0.05)、呼吸数(t(23)=2.77,p<0.05)において、マッサージ介入前より介入後に有意な低下がみられた。SPO_2(t(23)=-2.15,p<0.05)においては、マッサージ介入前より介入後に有意な上昇がみられた。これらの結果から、本研究で実施している背部マッサージの心理的効果としては、緊張や抑うつの軽減・疲労や混乱の軽減・倦怠感の軽減があり、身体的効果としては、副交感神経活動を有意にすることが明らかとなった。 2. 健康な高齢者に対する背部マッサージ効果の検証 現在も実験中である。成果報告については、平成22年度10月以降の学会で報告する予定である。
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Research Products
(1 results)