2010 Fiscal Year Annual Research Report
外来進行がん患者の終末期医療に対する希望の推移と評価に関するコホート研究
Project/Area Number |
20791693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 光令 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90301142)
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Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 癌 / 緩和ケア / 終末期医療 |
Research Abstract |
本研究は東京大学医学部附属病院放射線科外来受診中の患者を経年的にフォローアップし、患者の考える望ましい死や終末期の療養場所・余命告知の希望の推移、およびそれらの達成を遺族調査によって検討することが目的である。今年度は平成20年度にベースラインデータを取得した外来がん患者に対して引き続き追跡調査を行った。調査方法は自記式質問紙を用いたアンケート調査である。東京大学医学部附属病院放射線科外来を受診中のがん患者310名のうち、死亡67名、追跡不能28名を除く215名に調査票を配布または郵送した。また死亡したがん患者の遺族に対して患者の希望に沿った医療を受けることができたかを尋ねる遺族調査を郵送法にて行った。平成20年度から平成22年度までの望ましい死のあり方に関する希望、終末期の療養場所や余命告知に対する希望に関しては臨床的に有意な変化がみられなかった。これは死亡した患者を振り返って変化を検討した場合も生存中の患者と比較して同様の結果であった。したがって、患者の予後が短い場合でも少なくとも外来通院中はこれらの希望の変化は少ないことが示唆された。遺族調査においては死亡前の希望が実現していると考えられる項目と実現していない項目があったが、それらの分布は既存のクロスセクショナルに検討された遺族調査の結果とほぼ同様であった。望ましい死、死亡場所に関しては外来受診時の希望が必ずしも反映されていないことが示唆された。今後はがん医療において患者の望ましい死(療養生活のあり方)をアセスメントし、患者の希望に沿った療養生活を送ることが出来るような体制を構築することが課題である。
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