2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん看護におけるケア方略としてのタッチの臨床判断に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20791699
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 美華 Kumamoto University, 生命科学研究部, 助教 (90321950)
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Keywords | 看護学 / タッチ / がん看護 / 臨床判断 |
Research Abstract |
本研究は「(1)質的記述研究による臨床判断の構成要素の抽出」、および「(2)量的記述研究による関連要因の探索」の2点で構成される。平成21年度は(1)について、得られたデータの分析をさらに進め、臨床判断の構成要素として抽出した概念の定義(説明)を洗練し、時間軸に沿った整理を行った。その結果、以下に述べる8つの概念に整理できた。まず、身体的苦痛の増強など、困難な状況に直面した【患者の苦痛や苦悩を客観的に分析する】ことで、【一歩踏み込むケアの必要性を認識する】に至っていた。その後、患者のおかれた状況の厳しさなどから、自身の業務を調整するなど【タッチの場面を形成する】ことや、患者の言動や表情から【今がタッチのタイミングと掴む】ことによりタッチを実践していた。同時に、患者の特性や患者との関係性から【タッチの適否を慎重に見定める】こと、距離を縮めるために遠いところをそっと触れるなど【目的に合わせたタッチの方法を選択する】ことで成果を見据えてタッチを実践していた。そして、患者の感情に焦点を当てるなど【患者の内的世界に近づく】ことから、心理的距離を縮めていき、呼吸や筋緊張のような身体的変化、言動の変化といった心理的変化から【実践したタッチを評価する】プロセスをたどっていた。 また、タッチに影響する看護師側の要因として、先行研究では、臨床経験や看護教育、生育歴が報告されているが、本研究では、「臨床経験年数」「タッチの有用性についての確信」「ケア能力(ケアについての自信)」「アサーティブネス」「心身のパワー」が見出された。さらに、職場風土や職業コミットメントの影響も暗示されるなど新たな知見を得た。
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Research Products
(1 results)