2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん看護におけるケア方略としてのタッチの臨床判断に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20791699
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 美華 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90321950)
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Keywords | 看護学 / タッチ / がん看護 / 臨床判断 |
Research Abstract |
本研究は、「(1)質的記述研究による臨床判断の構成要素の抽出」、および「(2)量的記述研究による関連要因の探索」を通して、タッチをがん看護における方略的なケア技術として確立することを目指している。平成22年度は(1)で得られた結果をもとに、【タッチの臨床判断についての認識と実践度】について質問項目を作成し、【看護の専門職的自律性測定尺度】【日本語版バーンアウト尺度】と合わせて調査を行った。国内がん拠点登録病院337施設から100施設を無作為抽出し、看護部宛に調査協力を依頼したところ、28施設より快諾が得られたため合計1264部の調査票を配布した。郵送による回収を行ったところ、440部(回収率34.8%)の回答が得られ、尺度得点が算出可能な423部(有効回答率96.1%)を分析対象とした。対象者の背景は、年齢35±9.2歳、臨床経験は12.2±8.8年、がん看護の経験は7.1±6.2年であった。がん患者へタッチをする際に、「患者の言葉や視線、行動に注意をはらう」「患者の心理的状態についてアセスメントする」ことを重要としていた一方で、「周りのスタッフに相談して時間を作る」「実践したタッチの評価を患者自身に確認する」については重要度が低かった。また、実践度は「患者の言葉や視線、行動に注意をはらう」「目的に合わせたタッチの方法を考える」が高かった。 さらに、バーンアウトとの関連について検討したところ、特に「個人的達成感の低下」がタッチの実践度に影響していることが示された。経験年数との関連では、重要度の認識は経験年数による違いが少なかったが、実践度では「タッチのタイミングをつかむ」など多くの項目で経験を積むことにより実践度が高まることが示唆された。
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