2009 Fiscal Year Annual Research Report
看護師における「患者の死」の捉え方とターミナルケア困難感・行動パターンとの関連
Project/Area Number |
20791700
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
櫁柑 富貴子 Kagoshima University, 医学部, 助教 (30433072)
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Keywords | 終末期看護 / ターミナルケア / 緩和ケア / 死生観 / 死の捉え方 / チームアプローチ / 終末期医療 / 臨床 |
Research Abstract |
【研究目的】看護師は、「患者の死」をどのように捉えているのか(以下、<看護師における「愚者の死」の捉え方>=(1))。この(1)は、看護師が提供するケア内容の方向性を決定付ける重要な概念である。しかし未だ明確になっていない。本研究は、(1)と、看護師がターミナルケアを提供する際に困難と感じたケア(以下、<困難なケア>)及びその際の行動パターンとの関連性を明らかにすることを目的とする。なお今回の分析は、看護師が過去に克服を経験した<困難なケア>に焦点を当てて行った。【調査方法】2008~2009年度に亘り全国のがん診療連携拠点病院から無作為抽出を行い、研究協力に同意の得られた5施設のターミナル経験を有する看護師9名を対象とし、半構成的面接法にて調査を実施。面接内容は被験者の了承を得てICレコーダーに録音。分析にはグラウンデッド・セオリーを用いた。【結果・考察】被験者の年齢20~50歳代、臨床経験4~37年。過去に克服を経験した<困難なケア>には、「患者とのコミュニケーションに関すること」「看取りに関すること」「負担の少ない清潔援助」等が抽出された。要約すると、「患者の死」を否定的に捉えている場合、コミュニケーションや看取りに困難を感じ、回避行動をとってしまうケースもあった。しかしその後自身の気づきや先輩看護師からの具体的アドバイス、チームアプローチの機能を活用すること等で克服に至っていた。また克服後の<「患者の死」の捉え方>には肯定的要素が見出されていた。これらのことより、(1) とく困難なケア>・行動パターンには関連があり、少なくとも「患者の死」の否定的側面にとらわれてしまっている場合には患者と充分なコミュニケーションをとることは不可能であり、なぜそのような状況に陥ってしまっているのか原因を明らかにすると共に、死を多面的に捉えられるようなフォローが必要と考える。
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