2008 Fiscal Year Annual Research Report
産褥期の母親の出産体験におけるコントロール感覚と自己成長との関連
Project/Area Number |
20791722
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國清 恭子 Gunma University, 医学部, 講師 (90334101)
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Keywords | 出産体験 / 産褥期 / コントロール感覚 / 自己概念 |
Research Abstract |
産後1ヶ月の母親が出産体験を通して感じている自己概念の内容を明らかにすることを目的とし、出産後の入院中から産後1ヶ月までの間の研究参加に同意が得られた女性5名(初産婦4名、経産婦1名)を対象に、産褥3〜5日頃と退院後1ヶ月頃の計2回、半構成的面接調査を行った。調査内容は、1回目の面接では出産体験について、2回目は出産体験と自己概念についてであった。得られたデータを内容分析した結果、産後1ヶ月の母親が感じている自己概念の内容は、【自分は変わっていない】【出産したことで自分は強くなった】【出産時の自分を認めている】【自分は母親になったと実感する】【何事も子どもを中心に考えるようになった】【出産や育児の大変さを実感する】【家族や周囲の人の存在を大事だと感じる】【今の状況に負担を感じる】【自分の役割の再構成がうまくいっていないと感じる】【自分の役割を再構成し始めていると感じる】であった。出産時の自分を認め、出産体験を肯定的に意味づけることで、自分は強くなった、母親になったと実感するという思いが深まり、何事も子ども中心に考えるようになったという肯定的な母親意識が形成されていくと考える。一方、母親という新しい役割が加わったことにより今まで担ってきた役割とのバランスが取れず、今の状況に負担を感じたり、自分の役割の再構成がうまくいっていないと感じ、否定的な自己概念を抱いている母親もいた。しかし、葛藤を感じながらも新しい役割を再構成しようとする意識の表れであると捉えると、最終的には母親意識を形成し肯定的な自己概念を獲得するための過程であると考える。本研究では、経産婦はほとんど自己概念の変化を感じておらず、初産婦の自己概念の内容と違いがあることが示唆されたため、今後は初経別に分析する必要があると考える。現在、対象者および対象施設を増やして調査継続中である。
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