2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児がん患者が求めるソーシャルサポートとコーピングに関する研究
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20791726
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清川 加奈子 京都大学, 医学研究科, 助教 (70432317)
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Keywords | 小児がん / ソーシャル・サポート / 長期フォローアップ |
Research Abstract |
小児がんと診断を受け集学的治療の結果、成長期の子どもたちには、長期的なフォローアップが必要となる。国立病院機構名古屋医療センターの小児科長期フォローアップ外来では小児血液腫瘍専門医に加えて、小児内分泌専門医、産婦人科医、泌尿器科医、口腔外科医、精神科医、臨床心理士、専任の看護師も診療に参加している。そこでの経験を踏まえて、2010年9月より、京都大学医学部附属病院小児科においても小児がん患者のための長期フォローアップ外来を開設することができ、当該患者自身の声を収集し、同時に情報提供を進めている。妊娠や性に関しての質問も多いため、性科学学会への参加等により、がん患者の性についての情報収集も引き続き行っている。 また、近畿小児がん研究会看護部門と協力し、入院・治療中の白血球減少時の食事・捕食に関するガイドラインを作成するための勉強会も進行中である。 2011年9月にAlberta Children's HospitalとSeattle Children's Hospitalで視察研修において、Oncology Nurseとして入院環境、外来治療、入院中及び退院後の様々なフォローアップに関する情報収集と情報交換を行ってきた。両病院とも、受診しなければならない子どものストレスを少しでも和らげるように、より快適に過ごすことができるようにと様々な配慮がされていた。また、多様な人種、言語に対応するための工夫や、セキュリティー、家族へのサポートも随所に充実しており、遠方から入院する家族や、長期入院をしなければならない家族、患児のきょうだいへのサポートが組織内で確立されてた。朝のラウンドでは、レジデントのプレゼンテーションに基づいて、各々の患児についての病状、現在の治療、今日の方針、今後の方針についての議論が、スタッフドクター、担当看護師、薬剤師、栄養士、呼吸療法士、ソーシャルワーカー、患児と家族、通訳も参加して行われており、これに参加できたことは、日本では経験のないことで、とても貴重なものとなった。この学びを共有し、より小児がん患者へのサポートを充実させるために、第34回近畿小児がん研究会での特別講演の依頼を受け、反響を得た。 今後も引き続き、小児がんの子どもおよび経験者自身の意識とニーズの調査、ならびに親・きょうだいへの意識調査を行い、当該患者の今後のケアのあり方を考案し、適切な時期に情報提供を行えるよう、サポート環境を整えていくことが、成長期にある当該患者のストレスコーピングにもつながると考えられる。
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Research Products
(1 results)