2010 Fiscal Year Annual Research Report
タイとラオスにおける産後慣習に関する看護支援方策の基礎的研究
Project/Area Number |
20791747
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐山 理絵 東邦大学, 医学部, 助教 (40459821)
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Keywords | 看護学 / 国際看護学 / 異文化看護 / 産後慣習 / タイ / ラオス |
Research Abstract |
妊娠・出産・産褥・育児期は、固有の文化がその事象や行動に大きく影響する時期でもあり、異文化看護的視点、文化を考慮した看護支援を見出すことが必要である。東南アジアのタイやラオスでは、産褥期にユーファイ(産後の数日から1ヵ月間,炭の側で過ごすという保温や行動制限を伴う慣習)やカラムキン/カンカムキンという慣習(産褥期に食事制限を行う慣習)が広く実施されている.本研究は、近似した文化圏である両国において、産後慣習の経験や実態、支援を明らかにし、慣習の変化や看護支援について両国の比較をもとに研究し、文化を考慮した看護支援方策を見出すことを目的としている。本年度は、タイとラオスにおいて産科病棟に勤務する看護職を対象に、産後慣習に関する考えを調査し、比較を行った。 タイ北部パヤオ県の総合病院で看護師6名、ラオスビエンチャン市の総合病院で10名を対象に半構造的面接法を用い産後慣習の実施方法や価値観、実施されている看護ケアや指導について聞き取り調査を行った。両国とも正常産褥の入院期間は、24時間もしくは1泊2日程度であった。タイの看護師は、産後慣習の存在や褥婦が現在でも実施していることを認知していたが、病院内では指導などで言及することはなくケアを行っていた。ラオスの看護師も、産後慣習が広く実施されていることについて認識しており、褥婦がその実施を重要視していると言及していた。産褥入院中、退院指導などで看護師が産後慣習については触れるが、実施そのものを中止するよう勧める者、実施における方法について指導するものなど、指導内容は一定しておらず様々であった。看護師は褥婦と同じ文化を持ち、産後慣習の文化の中での重要性を認識している。しかし、近代看護の範囲を超えた文化慣習に看護師としていかに対応していくかは明確になっておらず、褥婦の状況を考慮した看護支援を各自で模索している状況であることが分かった。
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