2009 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠各期における夫の「親としての自己獲得」と妻と児、社会資源との関連
Project/Area Number |
20791754
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
倉内 静香 Hirosaki University, 大学院・保健学研究科, 助手 (60455730)
|
Keywords | 妊娠期の夫 / 親としての人格発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、妊娠期(初期、中期、後期)における夫の親としての自己の獲得過程、またその過程に関わる要因について明らかにすることである。妊娠期の妻とその夫を対象に自記式質問紙調査を行った。 調査項目は、親としての人格発達尺度(以下、人格発達)は6因子からなる49項目、胎児への愛着尺度は4因子からなる11項目を用いた。夫婦関係尺度は、夫婦間のコミュニケーション6項目、愛着尺度(愛着要求e、w)の各4項目を用い、性役割観尺度は革新的・非伝統的性役割観を問う10項目を用いた。全てに4段階選択肢を設定し、各尺度を得点化した。 初期では、夫の人格発達「柔軟さ、自己抑制、自己の強さ」と夫婦関係尺度の愛着要求eの「してあげたい」という要求が妻より有意に高く、愛着要求wの「してほしい」という要求では妻が夫より有意に高い得点であった。また初期の夫の人格発達は、夫の胎児への愛着、妻の人格発達「運命・信仰・伝統の受容」により説明された。 中期では、妻が夫よりも人格発達「生き甲斐・存在感」、また胎児へ愛着が有意に高かった。また夫の親としての人格発達は、夫の妻への愛着要求wにより説明された。 後期では、夫婦間に有意差は認められなかった。夫の親としての人格発達は、妻の人格発達「自己の強さ」で説明された。 3期間の比較では、夫の人格発達の変化に相違は見られなかったが、妻は初期では夫よりも親としての自己の意識の変化は低かったが、後期になるほど得点が高く相違が認められた。 夫は妻よりも妊娠が分かった段階から親としての自己の変化を自覚しているが、妊娠経過とともに胎児への愛着よりも妻への愛着、妻の人格発達が影響し獲得していくことが示唆された。このことからも、妊娠期より夫が胎児への愛着を持てるよう支援し、妻だけではなく、胎児を含めた関係性を築いていけるよう支援していくことが夫の親としての自己獲得を促進すると考えられた。
|