2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢一卵性双生児における生活機能低下のペア内差異と成因の解明
Project/Area Number |
20791765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西原 玲子 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (10452434)
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Keywords | 生活機能 / ADL / 高齢者 / 老人 / 双生児 / 双子 / 機能低下 / 身体活動 |
Research Abstract |
【目的】前年度において、高齢双生児の生活機能の評価指標として老研式活動能力指標を用いた質問紙調査を行った。今年度は得られたデータの解析を進め、結果を得たため複数の学会で発表を行うことができた。単年度調査での横断研究では、生活機能に寄与する遺伝的要因と生活環境要因の寄与率を相対的に推定した。環境要因の寄与率を明らかにすることにより、介入支援によってどの程度老化に伴う機能低下を予防できるのかについての示唆を得ることができる。【方法】在宅であり、老研式活動能力指標の全項目に回答した65歳以上の男性双生児369人(一卵性双生児280人、二卵性双生児89人)を分析対象とした。相加的遺伝要因(A)、優性遺伝要因(D)、共有環境要因(C)、非共有環境要因(E)を潜在変数とした共分散構造分析により、各要因から成る遺伝モデルを構築し、老研式活動能力への寄与率を推定した。【結果】老研式活動能力指標のサブカテゴリーである手段的自立、知的能動性、社会的役割についての解析の結果、社会的役割に関してはAEを成分とする遺伝モデルが採択され、相加的遺伝要因の寄与率は29.6%(95%信頼区間10.4-45.9)、非共有環境要因の寄与率は70.4%(54.1-89.6)であった。手段的自立と知的能動性に関しては、遺伝要因の寄与は見られなかった。【考察】これまでの縦断的研究によれば、社会的役割は基本的ADLや手段的ADLより早期に低下が認められる重要な生活機能である。結果より、社会的役割への遺伝的要因の関与はあったが大部分は個人に特有の生活環境要因であり、介入支援により老化に伴う機能低下を予防できる可能性が示唆された。手段的自立と知的能動性への遺伝的要因の関与はみられなかったが、これは機能低下のみられた対象者自体が少ないためであると考えられた。今後は、生活機能に影響する非共有環境要因を具体的に分析していくとともに、縦断的研究により因果関係を明らかにする。
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Research Products
(2 results)