2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791767
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大えき 美樹 鳥取大学, 医学部, 助教 (70403392)
|
Keywords | 老年期 / がん患者 / 他者への負担感 / QOL |
Research Abstract |
本研究の目的は、Self Perceived Burden Scale (SPBS)日本語版の信頼性・妥当性について検討するとともに、老年期がん患者の他者への負担感の特徴について検討を行うことである。平成22年度は、調査の分析・まとめ、成果発表を行った。 調査対象者は外来通院中の固形がん患者310名とし、有効回答数210名(67.7%)を分析対象とした。平均年齢64.6±12歳、男性105名、女性105名であった。このうち65歳以上は115名(54.7%)、平均年齢73±5.2歳であった。SPBS日本語版の信頼性については、内的整合性が支持され、妥当性では基準関連妥当性が確認された。探索的因子分析および主成分分析の結果、SPBS日本語版は18項目(短縮版9項目)1因子モデルとなった。18項目と9項目との間には強い相関が認められ、患者の回答時間の負担軽減を考慮し、短縮版9項目の使用が臨床において活用しやすく、評価のツールとして活用されることが期待される。SPBS得点と基本属性間について一元配置分散分析(ANOVA)を行った結果、performance status(PS)、家族構成、罹患期間、主介護者において有意な差がみられた。多重比較の結果、PSの低下、罹患期間が1年未満または10年以上、配偶者と2人暮らし、主介護者が配偶者または両親である患者ほど負担感を強く感じている傾向を示した。このうち、老年期がん患者においてはPSの低下が他者への負担感を強くする傾向を示した。また、SPBS日本語版の平均得点が西洋の報告と同程度であったことから、がん患者の負担感は文化社会的背景の違いに関係なく存在することが示唆された。他者への負担感に焦点を当てた医療専門職者の観察が重要であり、がん患者によって経験される他者への負担感の理解につながると考える。 現在、老年期がん患者の他者への負担感の特徴および関連要因について分析を進めている。
|