2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の家族内コミュニケーションパターンを変化させる協同型看護モデルの開発
Project/Area Number |
20791768
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邉 久美 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部・看護学科, 准教授 (60284121)
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Keywords | 家族支援 / 家族-看護師関係 / 家族介入モデル / 精神看護 / 家族看護 / 対人関係 / 看護モデル |
Research Abstract |
精神障害者の家族内コミュニケーションパターンを変化させる協同型看護モデルの開発にむけて、母子間のコミュニケーションの悪循環が指摘される摂食障害患者の母親面接を行った。3例に継続的に面接もしくはメール相談を行い、その参与記録と逐語録を分析対象として介入モデルの構成要素を抽出し、フレームワーク化を行った。文献検討の結果と統合して看護師と家族との相互理解を促進する要素を検討した結果、まず、母親の介護状況をアセスメントした上で【ねぎらい】【かかわりへの賞賛】を根底におき、初期には【感情表出の保障】【感情の受けとめ】【関心事へのつきあい】を繰り返すことで、母親に看護師との援助関係が形成されると思われた。関係形成の後に、母親から表出された患者とのコミュニケーションにおける問題は、「繰り返される暴言にどう対応すればよいかわからない」という戸惑いなどの【踏み出すことへの躊躇】、「してあげてもお礼がない」などの【自分に対する態度の不満】、「愛情が湧かない」などの【受容の限界の訴え】であった。これらの問題に対し、1例は、母親自身に患者との日常的なやりとりにおける【行き詰まりやすれ違いから脱却するための真剣な問い】が始まった。社会とのつながりをもたない患者の母親への関わりであり、母親への対応のみで母親の心理症状が徐々に変容し、自己の人生を振り返るに至った。また、母親が患者を理解する一手段としてOne message Question法を開発し、患者の母親への心理的欲求を明確にした。1事例に本質問法を用いて母親側に介入したが顕著な効果は得られず、患者側に対人関係療法的要素を参考に、患者との協働により母親への対応法を検討しロールプレイを行ったところ、母親への感情表現や自己主張において効果があった。患者あるいは母親のいずれかのみにアプローチを行う環境も多く、今後は症例数を増やした評価の必要がある。
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