2009 Fiscal Year Annual Research Report
介護予防サービス利用者における自律性の評価に関する研究
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20791770
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松井 美帆 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60346559)
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Keywords | 自律性 / 介護予防サービス / PEA尺度短縮版 / 介護予防通所介護 / 介護予防訪問介護 / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
改正介護保険法では介護保険の基本理念である「自立支援」を徹底するため、新たな予防給付の再編が行われ、予防重視型システムへの転換が図られた。このような中、高齢者の自律性についても評価していくことが求められるが、適切な尺度が開発されていないこともあり、十分な知見が得られていない。そこで本研究ではヘルツのPEA尺度日本語版を用いて、介護予防サービス利用者の自律性を明らかにすることを目的とした。平成20年度は自律性尺度について、一般高齢者(N=220)を対象にPerceived Enactment of Autonomy(PEA)尺度日本語版(短縮版)の開発を行い、PEA尺度の妥当性・信頼性について検証を行った。 平成21年度は介護予防サービス利用者149名を対象に3つの下位尺度自発性、個性、自主独往から構成されるPEA尺度短縮版を用いて自律性の評価を行った。対象者の平均年齢は80.8歳、女性が73.6%、要支援1が60.7%、要支援2が39.3%であった。利用サービスは介護予防通所介護38.9%、同訪問介護51.7%等であった(重複回答あり)。介護保険の利用期間は1年未満19.2%、1~3年未満30.8%、3年以上50.0%、サービスの種類や内容に関するケアマネージャーからの説明は「十分聞いた」50.7%、「まあまあ聞いた」47.3%、「全く、あまり聞いていない」3.4%であった。現在受けているサービスについて満足度しているとの問いは「非常そう思う」44.5%、「まあそう思う」52.7%、「あまりそう思わない」2.7%であった。自律性に関連する要因として、健康状態が挙げられ主観的健康状態が良いほどPEA総得点が高かった。また、下位尺度の自発性と要介護度について介護度が低い群で得点が高く、自主独往とサービス満足度において関連を認めた。さらにソーシャルサポートについては、PEAと友人・知人・近隣からの手段的サポート、自発性と配偶者以外の同居家族、別居の子どもまたは親戚からの手段的サポート等との関連が認められた。以上のことから、介護予防サービス利用者における自律性については、健康状態や要介護度をはじめ、周囲のソーシャルサポートやサービス満足度などを考慮していくことが重要である。
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